皆様こんにちは!
MIURA HOME営業担当の三浦恭輔です。
喘息は、日本国内で約800万人以上が罹患しているとされる呼吸器疾患のひとつです。特に子どもや高齢者に多く、気温や湿度、空気の質によって症状が悪化することがあります。
今回のコラムでは、「寒い家」が呼吸器にどう影響を与えるのかという問題点と、改善するために必要な住環境の条件について解説していきましょう。
目次
1. 「寒い家」の問題点
1-1.低温環境が気道を刺激する
1-2.乾燥した空気が気道粘膜を傷つける
1-3. 結露で増殖したカビやダニがアレルゲンとなる
2. 軽減させるための住環境の条件
2-1. 高断熱・高気密住宅(G3レベル)の導入
2-2. 第一種換気(熱交換換気)で空気の質を改善
3. まとめ
1. 「寒い家」の問題点
近年の研究によると、住まいの温熱環境が呼吸器疾患の発症や悪化に大きな影響を与えるといわれています。
特に、低断熱・低気密の住宅では冬場の室温が低くなり、空気が乾燥。ハウスダストやカビも発生しやすくなるため、喘息等の呼吸器疾患の症状を悪化させるリスクが高まる可能性があります。
1-1.低温環境が気道を刺激する
寒い空気を吸い込むと、気道が収縮します。気道粘膜が過敏になるため、喘息等の発作を引き起こしやすくなるといわれています。
特に、室温が15℃以下の環境では、症状が悪化する可能性があるため、注意が必要です。
住宅の断熱性能と室温の関係
住宅の断熱性能(Ua値) | 冬の最低室温 | ぜんそく発作リスク |
---|---|---|
0.87(従来の住宅) | 10℃以下 | 高 |
0.46(G2住宅) | 12~15℃ | 中 |
0.26(G3住宅) | 15~18℃ | 低 |
データ(日本呼吸器学会)
- 室温が15℃以下の環境では、喘息等の発作の発生率が約2倍
- 温度が安定した室温(18℃以上)を維持すると、喘息等の発作が約50%減少
1-2.乾燥した空気が気道粘膜を傷つける
寒い家では、室温が低いだけでなく、空気が乾燥しやすくなります。乾燥した空気を吸い込むと、気道粘膜がダメージを受け、喘息等の発作を引き起こしやすくなるのです。
湿度とぜんそく症状の関係
室内湿度 | 気道の保護機能 | ぜんそく発作リスク |
---|---|---|
50%以上 | 正常 | 低 |
40%以下 | 防御機能低下 | 中 |
30%以下 | 粘膜損傷、炎症増加 | 高 |
湿度を50%前後に維持することで、気道粘膜を保護し、ぜんそく発作を予防できるのです。
データ(国立環境研究所)
- 湿度40%以下では、気道粘膜の防御機能が低下し、呼吸器疾患の症状が30%以上悪化
- 湿度50%以上を維持すると、喘息等の発作の頻度が約25%低減
1-3. 結露で増殖したカビやダニがアレルゲンとなる
断熱性能の低い家では、冬場に結露が発生しやすく、カビやダニの温床となります。カビやダニのアレルゲンは喘息等の呼吸器疾患を悪化させる要因のひとつです。
結露・カビを防ぐために
- 高断熱窓(Low-E複層ガラス・トリプルガラス)を採用し、窓表面温度を上げる
- 壁や床の断熱性能を向上させ、熱橋(ヒートブリッジ)を防ぐ
- 適切な換気システムを導入し、湿度を一定に保つ
データ(環境省)
- 湿度70%以上の環境では、カビの繁殖スピードが3倍
- カビやダニの多い家では、喘息等の呼吸器疾患の発症率が約2倍
2. 軽減させるための住環境の条件
呼吸器疾患の症状を軽減させるためには、住環境を整えることがおすすめです。では、どのような住環境がよいのでしょうか。
2-1. 高断熱・高気密住宅(G3レベル)の導入
高断熱・高気密住宅では、室温と湿度を一定に保つことができるため、喘息等の発作を軽減させることにつながります。
また、高断熱住宅(G3レベル)では、冬でも室温を15℃以上に維持し、喘息等の発作のリスクを低減することが期待できます。
高断熱住宅では結露が発生しにくく、カビやダニの発生を抑制し、呼吸器疾患の症状を軽減することにつながるでしょう。
G3住宅のメリット
- 冬でも室温15℃以上を維持し、気道を安定させる
- 湿度管理がしやすく、乾燥による気道のダメージを軽減
- 結露を防ぎ、カビやダニの発生を抑制
2-2. 第一種換気(熱交換換気)で空気の質を改善
換気が不十分な家では、ハウスダストやCO2濃度が上昇。呼吸器疾患の症状が悪化する可能性があります。
しかし、第一種換気(熱交換換気)を導入することで、外気の影響を受けずに空気を清潔に保つことが可能です。
データ(日本建築学会)
- 第一種換気を導入すると、CO2濃度が30%低下
- ハウスダストの量が減少し、喘息等の発作が約20%低減
3. まとめ
低断熱住宅では、室温低下により気道が収縮し、喘息等の呼吸器疾患が悪化する恐れがあります。湿度が40%以下になると気道粘膜が乾燥するため、症状が30%以上悪化するといわれています。
また、結露・カビが発生すると、それらがアレルゲンとなり、喘息等の発作リスクを2倍にしてしまう可能性も…。
しかしG3住宅(Ua値0.26以下、C値0.3以下)であれば、室温・湿度を一定に保てるので、呼吸器疾患の発作のリスクを軽減することにつながります。
さらに第一種換気システムを導入することで、空気の質を改善し、アレルゲンでもあるハウスダストを減らせられますよ。
住宅をご検討のかたは、ぜひ高断熱・高気密住宅+適切な湿度管理+計画換気で住環境を整え、健康的な暮らしを実現しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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参考文献・参考ページ
- 日本呼吸器学会:「ぜんそくと住環境の関係」
- 国立環境研究所:「湿度と気道の健康」
- HEAT20:「G2・G3住宅の基準とメリット」