皆様、こんにちは!
MIURA HOME営業担当の三浦恭輔です。
突然ですが、長崎県の気候について知っていますか?
長崎県は、台風や強風の影響を頻繁に受ける地域です。そのため、この地域で住宅を建てる際には、台風や強風に対する備えが重要な設計要素となります。
適切な設計と構造の工夫により、家屋の安全性を確保し、その家に住む人たちの命と財産を守ることができます。
今回は、長崎県での台風や強風に強い住宅設計のポイントを、数値的根拠と共に解説します。
目次
1.長崎県の気候と台風の特性
2.台風や強風に強い住宅設計のポイント
2-1.耐風設計
2-2.窓やドアの防風対策
2-3.屋外設備の固定と保護
2-4.雨水排水対策
3.まとめ
1. 長崎県の気候と台風の特性
長崎県は、九州の西端に位置し、毎年多くの台風が接近・上陸する地域です。特に、夏から秋にかけては台風の影響が顕著であり、強風や大雨による被害が発生しやすい環境です。
- 台風の頻度:長崎県では、年間に平均して3~5回の台風が接近し、そのうち1~2回は県内に大きな影響を及ぼすとされています。
- 風速:台風時の最大瞬間風速は、過去のデータでは50m/sを超えることもあり、非常に強い風圧が建物にかかります。
このような気候条件に対処するためには、強風や暴風雨に耐える住宅設計が不可欠です。
2. 台風や強風に強い住宅設計のポイント
台風や強風に耐える、強い住宅設計のポイントを4つ紹介します。
2-1.耐風設計
台風や強風に耐えるために重要なのが、耐風設計です。耐風設計とは、建物が風圧によって損傷を受けないようにするための設計手法のこと。
ここでは、耐風設計の具体的なポイントを説明していきます。
屋根の設計
屋根は台風の際に最も風圧を受けやすい部分です。以下の設計が推奨されます。
- 屋根形状:片流れ屋根や寄棟屋根など、風を逃がしやすい形状が適しています。勾配の急な屋根は風を受け流しやすく、風圧を低減します。一般的に、屋根の勾配は4寸(約22度)以上が望ましいとされています。
- 固定方法:屋根材はしっかりと固定する必要があります。釘やビスによる固定に加えて、接着剤を併用することで、風圧による飛散を防止します。台風時の風速を考慮し、固定力を2倍に強化することが推奨されます。
建物全体の耐風強度
建物全体の耐風強度を高めるためには、以下の対策が有効です。
- 壁の補強:外壁には耐風性に優れた材料を使用し、壁の中に耐力壁を設けることで、風による横揺れに対抗します。具体的には、筋交いや構造用合板を用いることで、耐風強度を高めることができます。耐力壁の配置バランスも重要で、建物全体に均等に配置することが必要です。
- 基礎の強化:基礎部分がしっかりと地面に固定されていることも重要です。基礎と柱の接合部にアンカーボルトを使用し、建物全体の固定力を向上させます。また、基礎の深さや幅を十分に確保し、地盤に対する支持力を高めます。具体的には、基礎の立ち上がり高さを40cm以上とすることが一般的です。
2-2.窓やドアの防風対策
台風時には、窓やドアが破損することで風雨が室内に侵入し、被害が拡大する可能性があります。そのため、窓やドアの防風対策も重要となってきます。
強化ガラスやシャッターの使用
窓ガラスが割れるのを防ぐためには、強化ガラスや防風シャッターの設置が効果的です。
- 強化ガラス:一般的なガラスに比べて、強化ガラスは4〜5倍の強度があり、飛来物による破損リスクを低減できます。また、合わせガラスも有効で、ガラスが割れても破片が飛散しにくい構造になっています。
- 防風シャッター:窓の外側にシャッターを設置することで、飛来物から窓を保護できます。シャッターは耐風性能を持つものを選び、風速50m/s以上に耐える仕様のものが推奨されます。
防水性能の向上
台風時には、強風と共に大量の雨が降るため、防水性能を高めることも重要です。
- シーリング材の適切な使用:窓やドアの隙間にシーリング材を充填し、雨水の浸入を防ぎます。使用するシーリング材は、耐候性や耐水性に優れたものを選びましょう。
- ドア枠の防水処理:ドアの下部には、雨水の浸入を防ぐための防水パッキンやドレインを設置します。特に、玄関ドアの下部は防水処理を徹底し、室内への雨水浸入を防ぎます。
2-3.屋外設備の固定と保護
台風時には、屋外に設置された設備が風で飛ばされることによる被害が懸念されます。これらの設備の固定と保護も、住宅の安全を確保する上で重要です。
エアコン室外機や太陽光パネルの固定
エアコンの室外機や太陽光パネルは、風による被害を防ぐためにしっかりと固定する必要があります。
- 室外機の固定:エアコンの室外機は、アンカーボルトでしっかりと地面や基礎に固定します。さらに、風が強い地域では、室外機カバーを取り付けて保護することも推奨されます。
- 太陽光パネルの固定:太陽光パネルは、屋根にしっかりと固定し、風による飛散を防ぎます。パネルの設置角度や架台の強度も考慮し、耐風性能を高める設計が求められます。風速50m/s以上に耐える設計基準を満たすことが推奨されます。
アンテナや物置の固定
アンテナや物置なども、風で倒れたり飛ばされたりしないように固定する必要があります。
- アンテナの固定:屋根上に設置するアンテナは、しっかりと固定し、風圧による倒壊を防ぎます。必要に応じて支線を追加し、風による揺れを抑制します。
- 物置の固定:物置や倉庫も、基礎にアンカーボルトで固定し、風で移動しないようにします。特に、屋根や壁の接合部を強化し、風圧による損傷を防ぎます。
2-4.雨水排水対策
台風による大雨は、住宅周囲に大量の雨水を発生させます。これにより、浸水被害のリスクが高まるため、適切な排水対策が重要です。
屋根の排水設計
屋根からの雨水を効率的に排水するための設計が必要です。
- 雨樋の設置:屋根には雨樋を設置し、雨水を適切に排水することで、基礎や外壁への浸水を防ぎます。雨樋は定期的に清掃し、詰まりがないように維持管理をおこないましょう。
- 排水口の確保:適切な数と大きさの雨樋の排水口を設け、雨水を迅速に排水することが重要です。台風の際に排水能力が不足しないように、余裕を持たせた排水計画の設計が求められます。
敷地内の排水計画
敷地内に降り注ぐ雨水も、適切に排水するための対策が必要です。
- 地面の傾斜:敷地全体に適度な傾斜をつけ、雨水が建物から遠ざかるように排水します。特に、建物周囲には勾配を設け、雨水が基礎に浸透しないようにします。
- 排水溝の設置:敷地内には排水溝を設け、雨水が迅速に流れるようにします。排水溝は定期的に点検し、ゴミや土砂で詰まらないようにメンテナンスをおこないます。
3.まとめ
長崎県のように、台風や強風が頻発する地域で住宅を建てる際には、風や雨に対する十分な備えが必要です。
耐風設計や防風・防水対策、屋外設備の固定と保護、そして雨水排水対策を徹底することで、台風に強い安全な住宅づくりが実現します。
これらの対策を十分におこない、長崎県の厳しい気候条件にも対応した、快適で安全な住まいづくりをしましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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参考文献・参考ページ
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気象庁「台風の統計データ」
URL: https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/ -
国土交通省「建築物の耐風設計基準」
URL: https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070112_2/070112_2.html -
建築技術協会「防風シャッターの設計と施工」
出版社: 建築技術協会、2020年 -
長崎県「地域の気候特性に基づく建築防災ガイドライン」
URL: https://www.pref.nagasaki.jp/somu/kikohosei/