皆様こんにちは！
MIURA HOME営業担当の三浦恭輔です。
脳卒中は、日本における主要な死因のひとつであり、厚生労働省の調査によると毎年約10万人以上が亡くなっているという報告が出ています。
特に冬季に発症率が上昇することが知られており、低温環境が血管に与える影響によるものだといわれています。
今回のコラムでは、住宅環境がどのように脳卒中のリスクを高めるのか、安全な住環境を整えるためのポイントとともに紹介します。
目次
1. 低断熱住宅が脳卒中リスクを高めるメカニズム
1-1.冬季の温度変化による血圧の急上昇
1-2.室温が低いと脳卒中リスクが高まる
1-3.ヒートショックと脳卒中の関連性
2. 脳卒中リスクを低減するための住宅条件
2-1. 高断熱・高気密住宅（G3レベル）の導入
2-2. 全館暖房の導入
2-3. 第一種換気（熱交換換気）の活用
3. まとめ
1. 低断熱住宅が脳卒中リスクを高めるメカニズム
住環境の温度は、脳卒中リスクを高める大きな要因のひとつであるといわれています。
特に、低断熱・低気密の住宅に住んでいる場合、冬場の温度変化が大きく、血圧の急変が発生しやすいため、脳卒中のリスクが高まる可能性があります。
1-1.冬季の温度変化による血圧の急上昇
寒い環境では、体温を維持しようとして血管が収縮し、血圧が急上昇します。その後、暖房の効いた部屋から寒い場所（浴室・トイレ・廊下など）へ移動すると、急激な温度変化が起こり、血圧の急変が脳卒中の引き金となることがあります。
データ（日本医療研究開発機構）
- リビングと浴室の温度差が10℃以上になると、脳卒中の発症リスクが約50%増加
- 室温が18℃未満の住宅では、脳卒中の発症リスクが約1.8倍
冬の住宅内の温度差（従来の住宅）
| 場所 | 室温（冬） |
|---|---|
| リビング | 20℃ |
| 廊下 | 10℃ |
| 浴室 | 5～8℃ |
| トイレ | 5℃以下 |
1-2.室温が低いと脳卒中リスクが高まる
低断熱住宅では、冬場に室温が10℃以下になることが多くあり、慢性的な血圧上昇を引き起こす可能性があります。
住宅の断熱性能と脳卒中リスク
| 住宅の断熱性能（Ua値） | 冬の最低室温 | 脳卒中リスク |
|---|---|---|
| 0.87（従来の住宅） | 10℃以下 | 高 |
| 0.46（G2住宅） | 12～15℃ | 中 |
| 0.26（G3住宅） | 15～18℃ | 低 |
データ（厚生労働省調査）
- 室温が15℃以下の家に住む高齢者は、脳卒中リスクが約2倍
- 室温18℃以上を維持すると、脳卒中の発症率が約40%低減
1-3.ヒートショックと脳卒中の関連性
急激な温度変化によって血圧が急変する現象を「ヒートショック」と呼びます。このヒートショックが脳卒中の大きな要因になっています。
ヒートショックが起こりやすい場面
- 暖かいリビングから寒い廊下・浴室へ移動
- 冷えた浴室で衣服を脱ぐと、血圧が急上昇
- 熱い湯船に浸かると、血圧が急低下
これにより、血圧の急変が脳卒中の発生リスクを高めるといわれています。
データ（日本脳卒中学会）
- 入浴中の脳卒中発症率は、室温10℃以下の浴室で2倍
- 浴室の温度を15℃以上に維持すると、脳卒中リスクが50%以上低減
2. 脳卒中リスクを低減するための住宅条件
では、脳卒中のリスクを低減するためには、どのような住宅を選べばよいのでしょうか。
2-1. 高断熱・高気密住宅（G3レベル）の導入
寒暖差の大きい家では、血圧の変動が激しくなり、脳卒中リスクの増大につながります。
住宅全体の温度を安定させるためには、高断熱・高気密住宅（Ua値0.26以下、C値0.3以下）が理想的です。
G3住宅のメリット
- 家全体の温度差を3℃以内に抑える
- 冬の最低室温を15℃以上に維持
- ヒートショックのリスクを大幅に低減
データ（HEAT20調査）
- G3住宅では、脳卒中リスクが最大70%低減
引用元：住まいの温度から考えるあなたの健康ガイド｜住宅における良好な温熱環境実現推進フォーラム
2-2. 全館暖房の導入
家全体の温度を均一にするために、全館暖房システムを導入すると効果的です。
室温を一定に保つことで、血圧の安定化を促し、脳卒中リスクの低減につながるでしょう。
おすすめの暖房システム
- 床暖房：輻射熱で家全体を均一に暖める
- 温水パネルヒーター：浴室・トイレも均一に暖める
- エアコン＋第一種換気：温度を一定に維持
データ（日本建築学会）
- 全館暖房＋高断熱住宅で、脳卒中リスクが50%以上低減
2-3. 第一種換気（熱交換換気）の活用
換気を適切におこないながら、外気の影響を受けずに室温を一定に維持できるため、脳卒中リスクの軽減につながります。
データ（国立建築研究所）
- 熱交換換気を導入すると、温度変動が30%軽減
- 室温が18℃以上に維持され、血圧の安定化に寄与
3. まとめ
低断熱住宅では、室温低下が血圧変動を引き起こし、脳卒中リスクを高める可能性があります。ヒートショックが脳卒中の引き金となり得るため、家全体の温度差をなくすことを意識しましょう。
G3住宅（Ua値0.26以下、C値0.3以下）の場合、室温を15℃以上に維持できるため、脳卒中リスクの低減につながります。
さらに全館暖房＋熱交換換気システムを導入することで、温度変動を最小限に抑えられます。
健康的な生活を送るためには、住環境の温度管理が重要です。快適で安全な住まいを実現するためにも、高断熱・高気密住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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参考文献・参考ページ
- 厚生労働省：「冬季の低室温と脳卒中リスク」
https://www.mhlw.go.jp - HEAT20：「G2・G3住宅の基準と健康メリット」
https://www.heat20.jp