【長崎 注文住宅】なぜ新築なのに「寒い家」が今も建てられているのか?
2026.05.23
目次
はじめに
「せっかく新築を建てたのに冬が寒い」
実は、このような後悔は日本全国で今も多く発生しています。
特に長崎県のような比較的温暖な地域では、
- 「九州だから暖かい」
- 「雪が少ないから断熱はそこまで必要ない」
- 「暖房をつければ大丈夫」
と考えられることも少なくありません。
しかし現実には、長崎県でも冬の最低気温は0℃前後まで下がる日があり、住宅性能が低い家では、
- 脱衣所が10℃以下
- 廊下が12℃前後
- 窓際が極端に冷える
- 朝起きた時に室温が15℃未満
という状況も珍しくありません。
そして問題なのは、「寒い」という不快感だけではありません。
住宅の寒さは、健康・寿命・経済面にまで大きく影響することが、近年の研究で明らかになっています。
今回は、なぜ今も寒い新築住宅が建てられているのか、その背景と本当に重要な住宅性能について解説します。
日本の住宅は、実は先進国の中でも断熱性能が低い
まず前提として知っておきたいのが、日本の住宅性能は欧州基準と比較するとまだ低いという現実です。
例えばドイツでは、高断熱住宅が一般的であり、世界基準ともいえる「パッシブハウス」という考え方があります。
パッシブハウスでは、
- 冬でも家全体を20℃前後に保つ
- 少ないエネルギーで快適に暮らす
- 温度差を小さくする
ことが重要視されています。
一方、日本では2025年現在でも、断熱等級4レベル相当の住宅が多く存在しています。
これは簡単に言えば、
「最低限レベルの断熱」
です。
実はWHOも「寒い家」の危険性を警告している
世界保健機関であるWHO(World Health Organization)は、住宅の最低室温として18℃以上を推奨しています。
さらに高齢者や子ども、疾患を持つ方については、より高い室温が望ましいともされています。
つまり、
「冬に室温15℃程度しかない家」
は、健康面で見ると決して良い環境ではありません。
WHOの報告では、低温住宅は以下のリスクを高める可能性があるとされています。
- 高血圧
- 心疾患
- 呼吸器疾患
- 睡眠の質低下
- ヒートショック
特に日本では、入浴中の事故が非常に多いことが問題視されています。
消費者庁などの推計では、入浴関連事故による死亡者数は年間約19,000人に達する可能性があるとされています。
その大きな原因の一つが、
「暖かいリビング → 寒い脱衣所」
による急激な温度差です。
なぜ新築なのに寒い家が建てられるのか?
理由① 「見えない部分」にコストを掛けにくい
住宅購入時、多くの人は以下に注目します。
- 間取り
- 外観デザイン
- キッチン
- 床材
- クロス
もちろんこれらも大切です。
しかし、断熱・気密は完成後には見えません。
そのため、予算調整の際に削られやすいのです。
例えば、
- 窓性能を下げる
- 断熱材を減らす
- 気密施工を簡略化する
ことで、数十万円〜100万円単位のコスト削減が可能になります。
しかし、この削減は住み始めてから何十年も影響します。
理由② 「暖房すればいい」という考え方
日本では昔から、
「寒ければ暖房をつければいい」
という文化がありました。
しかし、これはエネルギー価格が安かった時代の考え方です。
現在は、
- 電気代高騰
- ガス代上昇
- エネルギー不安
が進んでいます。
つまり、
性能の低い家 = 毎月の固定費が高い家
とも言えます。
住宅性能で光熱費はどれくらい変わるのか?
ここで簡単な例を考えてみます。
一般的な住宅
- Ua値(断熱性能):0.87前後
- C値(気密性能):測定なし
高性能住宅
- Ua値:0.26前後
- C値:0.2以下
この差によって、年間冷暖房費は数万円〜十数万円変わるケースがあります。
仮に年間10万円差が出るとします。
35年間では、
100,000円 × 35年 = 3,500,000円
つまり約350万円です。
さらに今後、電気代上昇が続けば差はさらに広がる可能性があります。
これは単なる「節約」ではありません。
住宅ローンとは別に発生する、“第二の住宅ローン”とも言える固定費なのです。
「窓」が住宅性能を大きく左右する
住宅で最も熱が逃げやすい場所は窓です。
一般的なアルミサッシ+ペアガラスでは、冬場に窓表面温度が非常に低くなることがあります。
すると、
- 結露
- カビ
- 冷気
- 不快感
が発生します。
一方、高性能住宅では、
- 樹脂サッシ
- トリプルガラス
- 高断熱フレーム
を採用することで、窓際でも快適性を保ちやすくなります。
長崎は「断熱が不要」ではなく、むしろ重要
長崎県は全国的に見ても、
- 湿度が高い
- 降水量が多い
- 夏の蒸し暑さが厳しい
という特徴があります。
つまり長崎の家づくりでは、
- 冬の寒さ対策
- 夏の日射対策
- 湿気対策
を同時に考える必要があります。
ここで重要なのが、
- 断熱
- 気密
- 換気
のバランスです。
断熱だけを強くしても、気密や換気が悪ければ、
- 結露
- カビ
- 空気の淀み
につながる可能性があります。
本当に重要なのは「家全体の温度差」
住宅性能で最も大切なのは、
「家中どこでも快適であること」
です。
例えば、
- リビング22℃
- 廊下12℃
- 脱衣所10℃
では、家の中で体に負担がかかります。
理想は、
- リビング21℃
- 廊下20℃
- 脱衣所20℃
のように、温度差が小さい家です。
これは単なる快適性ではなく、健康性能とも言える部分です。
高性能住宅は「贅沢」ではなく、将来への投資
「高性能住宅は高い」
というイメージは今もあります。
確かに初期費用は上がるケースがあります。
しかし、
- 光熱費削減
- 健康リスク低減
- 結露防止
- 建物耐久性向上
- 快適性向上
を考えると、長期的には合理的な投資とも言えます。
特に今後は、
- 電気代上昇
- 夏の猛暑化
- 高齢化社会
が進む可能性が高く、住宅性能の重要性はさらに高まると考えられます。
まとめ
今も寒い新築住宅が建てられている背景には、
- 見えない部分への軽視
- 初期費用重視
- 古い住宅文化
があります。
しかし本来、家は毎日過ごす場所です。
そして住宅性能は、
- 健康
- 快適性
- 光熱費
- 寿命
に直結します。
家づくりでは、
「どんなキッチンにするか」
以上に、
「冬でも快適に暮らせるか」
を考えることが重要です。
特に長崎のような高温多湿地域では、断熱・気密・換気を総合的に考えた家づくりが、これからますます必要になるでしょう。
参考文献
・WHO Housing and Health Guidelines
・国土交通省 住宅の省エネ基準について
・一般社団法人 パッシブハウス・ジャパン
・消費者庁 高齢者の入浴事故に関する注意喚起
・HEAT20(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)