
冷房28℃でも暑い家・快適な家の違い|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.07.30

目次
結論:冷房の設定温度が同じでも、壁や窓の表面温度(放射熱)が違えば体感は大きく変わる
「同じ28℃設定なのに、家によって暑く感じる」——そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。実は、体感の暑さを決めているのは室温だけでは決してありません。今回は、その理由を「表面温度」という新しい視点から解説します。
この記事を書いた執筆者について
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
エアコンの設定温度を28℃にしていても、住む家によって涼しく感じたり、暑く感じたりすることがあります。
温度計の数字は同じなのに、なぜこのような違いが生まれてしまうのでしょうか。
その答えは、空気の温度だけでなく、周囲の壁や窓の表面温度に隠されています。
この記事では、体感温度の仕組みと、住宅性能との関係について詳しく丁寧に見ていきます。
「気温」と「体感温度」は同じではない
私たちが「暑い」「涼しい」と感じるのは、空気の温度だけが原因ではありません。
人の体は、周囲の壁や天井、窓などの表面からも、目に見えない形で常に熱のやり取りをしています。
これは「放射熱」と呼ばれるもので、冬にたき火に近づくと、周囲の気温が低くても温かく感じるのと同じ原理です。
室温計が示す数字が同じでも、周囲の表面温度が高ければ、体はより多くの熱を受け取り続け、暑く感じてしまいます。
逆に周囲の表面温度が低ければ、同じ室温であっても涼しく快適に感じられます。
この考え方は、快適な室内環境をつくるうえで決して欠かせない基本的な視点の一つです。
表面温度が体感を左右する仕組み
この、空気の温度と周囲の表面温度を合わせて総合的に評価した指標を「平均放射温度」と呼びます。
体感温度は、空気の温度と平均放射温度の両方から大きく影響を受けるといわれています。
つまり、室温を下げても、壁や窓の表面温度が高いままでは、体感的な暑さは十分に解消されないことがあるのです。
たとえば、西日を強く受けた壁の表面温度が室温より数度高い状態になっているとします。
この場合、エアコンで室温を28℃まで下げていても、体はその壁からの放射熱を受け続けているため、数値以上に暑さを感じてしまいます。
逆に、表面温度が室温に近い状態であれば、同じ28℃でも体感的な暑さはかなり和らぎます。
この違いこそが、「同じ設定温度なのに家によって暑さの感じ方がまるで違う」という現象の正体なのです。

断熱性能が低い家で起こること
断熱性能が低い住宅では、日射を受けた屋根や外壁の熱が室内側にも伝わりやすくなります。
屋根や外壁は、日中の強い日射を吸収し続けることで、表面温度がじわじわと上昇していきます。
特に西日の当たる壁は、夕方以降も熱を持ち続け、夜になっても室内側の表面温度がなかなか下がりにくい状態が続きます。
この状態でエアコンを28℃に設定しても、周囲からの放射熱によって、実際にはそれ以上にじりじりと暑く感じてしまうことがあります。
結果として、設定温度をさらに下げる必要が生じ、冷房の負荷が大きくなってしまいます。
こうした状態が続くと、「エアコンを強くしているのに、なぜか涼しくならない」という不満につながることもあります。
これは、機器の性能の問題ではなく、住宅の断熱性能や日射対策が十分でないことが背景にあるケースが少なくありません。
エアコンの機種を上位モデルに買い替えても、根本的な原因が解決されなければ、同じ悩みが何度も繰り返されてしまうこともあります。
高断熱住宅で起こること
断熱性能が高い住宅では、外部の熱が室内側の表面に伝わりにくいため、壁や天井の表面温度が室温に近い安定した状態を保ちやすくなります。
その結果、同じ28℃という設定温度でも、体感的な暑さがしっかり抑えられ、少ないエネルギーで快適さを維持しやすくなります。
これは、冷房の設定温度を上げても快適さを保ちやすいということでもあり、省エネにもつながります。
また、表面温度が安定していると、室内のどこにいても体感の差が少なくなるというメリットもあります。
窓際だけが暑い、特定の部屋だけ冷房が効きにくいといった悩みも、断熱性能を高めることで大きく軽減しやすくなります。
結果として、家全体を通じて均一な快適さを感じやすい住環境が実現します。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、UA値0.35以下を最低ライン、0.26以下を推奨基準とし、日射遮蔽型のトリプルガラスなど、表面温度が上がりにくい仕様を標準としています。
気温だけでなく、体感温度まで丁寧に考慮した住宅性能を大切にしています。
窓の配置や庇の設計を工夫することで、夏の強い日射を効果的に遮りながら、冬は逆に日射を取り込む設計にも取り組んでいます。
数値だけでなく、実際の暮らしの中で感じる「涼しさ」「暖かさ」を大切にした住まいづくりを目指しています。

まとめ
同じ冷房の設定温度でも、家によって体感の暑さは大きく異なります。
その違いを生む大きな要因の一つが、壁や窓の表面温度です。
住宅を検討する際は、室温だけでなく、表面温度に影響する断熱性能や窓の仕様にも目を向けてみてください。
「設定温度を下げても涼しくならない」という悩みは、多くの場合、機器の性能ではなく住宅の性能に原因があります。
エアコンを買い替える前に、まずは自宅の壁や窓の表面温度が実際にどうなっているかを意識してみることをおすすめします。
よくある質問
Q1. 平均放射温度は自分で測定できますか?
専用の測定機器が必要になるため、一般的には難しいですが、放射温度計を使えば壁や窓の表面温度の目安を手軽に確認することはできます。
Q2. 冬でも同じ考え方は当てはまりますか?
はい。冬は壁や窓の表面温度が低いと、体感的に寒く感じやすくなります。窓際で感じるひんやりとした冷気も、この放射の影響によるものです。冬場に窓から少し離れるだけで暖かく感じるのも、同じ理由によるものです。夏冬を通じて共通する考え方です。
Q3. カーテンやブラインドでも対策になりますか?
窓からの日射を遮ることで、表面温度の上昇をある程度抑える効果が期待できます。ただし、断熱性能そのものを高めることも、より根本的な対策として重要です。
Q4. 表面温度の差はどの部屋でも同じですか?
窓の面積や方角、壁の断熱仕様によって差が出ます。特に西日の当たる部屋は、夕方以降も熱がこもりやすいため注意が必要です。
Q5. エアコンの設定温度を工夫すれば解決できますか?
設定温度を下げることである程度は緩和できますが、根本的には住宅の断熱性能を高める方がより効果的で、光熱費の面でも有利です。
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参考文献
- 国土交通省「住宅の省エネルギー基準に関する資料」
- 一般社団法人 日本サステナブル建築協会 関連資料
- 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 関連資料