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三浦 恭輔

日本の住宅基準とパッシブハウスを比較してみた|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方

2026.08.23

日本の住宅基準とパッシブハウスを比較してみた|MIURAHOME

結論:「日本の住宅基準」は断熱等級だけでなく、ZEH基準やBEI(一次エネルギー消費量等級)など複数の指標から成り立っており、それぞれパッシブハウスとは評価の視点が異なる

「日本の住宅基準」と、一言でまとめて語られることが多いですが、実はその中にはいくつもの、性格が異なる指標が存在しています。断熱等級だけが決してすべてではありません。今回は、ZEH基準やBEIといった、あまり注目されない指標にも目を向けながら、パッシブハウスとの違いを整理します。

この記事を書いた執筆者について

三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。


「日本の住宅基準」は一つではない

断熱等級の話をすると、それだけで「日本の住宅基準」をすべて語り尽くしたような印象を持たれることがあります。

しかし実際には、日本の住宅性能に関する各種指標は、断熱等級以外にも数多く複数存在します。

その代表的な指標が、ZEH基準とBEI(一次エネルギー消費量等級)という2つの指標です。

これらは断熱等級とはまったく別の異なる視点で住宅性能を評価しており、パッシブハウスと比較する際にも、それぞれ違った意味を持ちます。

日本の住宅基準、断熱等級だけではない3つの指標

日本の住宅性能を語るうえで、あらかじめ押さえておきたい代表的な指標は次の3つです。

1つ目は、ZEH基準です。太陽光発電などを含め、年間の一次エネルギー収支をゼロ以下にすることを目指す、国の政策的な基準です。

2つ目は、BEI(一次エネルギー消費量等級)です。冷暖房・給湯・換気・照明などの一次エネルギー消費量そのものを、数値で評価する指標です。

3つ目は、パッシブハウスです。暖房・冷房需要を実測ベースで評価し、国際的な第三者認証をしっかり伴う基準です。

日本の住宅基準、断熱等級だけではない3つの指標

ZEH基準とパッシブハウスの違い

ZEH基準は、断熱性能に加えて、太陽光発電などによる創エネを組み合わせ、年間の一次エネルギー収支をゼロ以下にすることを目指す考え方です。

これは「創エネによって帳尻を合わせる」という側面が強く、必ずしも建物そのものの省エネ性能が極めて高いことを意味するわけでは決してありません。

一方パッシブハウスは、太陽光発電のような創エネ設備に頼る前に、建物そのものの暖房・冷房需要をまず最小限に抑えることを重視します。

つまり、ZEHは「収支をゼロにする」考え方、パッシブハウスは「そもそも消費エネルギーを減らす」考え方という、アプローチの違いがあるのです。

たとえば、断熱性能がそこまで高くない住宅でも、屋根いっぱいに太陽光パネルを載せれば、数値上はZEH基準を達成できてしまうケースがあります。この場合、建物自体の性能は決して十分とは言えないでしょう。

BEIという、意外と知られていない指標

BEI(Building Energy Index)は、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割った数値で、この数値が1.0を下回るほど省エネ性能が高いことを示します。

この指標は、冷暖房だけでなく、給湯・換気・照明まで含めたエネルギー消費量を評価する点で、パッシブハウスの総合評価にどこか近い性格を持っています。

ただし、評価対象となる設備の種類や計算方法には、日本と海外で細かな違いがあり、単純に数値だけを比較することはできません。

「BEI 0.8を達成しているから省エネ」という情報だけでなく、その計算の前提や評価範囲まで理解することが、正しい比較につながります。

パッシブハウスのPHPP計算は、地域の気象データや窓の日射熱取得まで細かく反映するのに対し、BEIの計算は標準化された条件を用いる部分が多く、実際の暮らしとの差がやや生まれやすいという指摘もあります。

MIURAHOMEの考え方

MIURAHOMEでは、断熱等級・ZEH基準・BEIといった日本国内の各指標をしっかり満たしたうえで、パッシブハウスの考え方を設計の土台として大切にしています。

「どれか一つの指標だけをクリアすればよい」という考え方ではなく、複数の指標を横断的にしっかり理解し、それぞれの意味を踏まえた住まいづくりを行っています。

お客様には、こうした複数の指標の違いについても、できるだけ分かりやすくご説明することを心がけています。

たとえば、ZEHや太陽光発電の導入を希望されるお客様には、まず建物そのものの断熱・気密性能をしっかりと高めたうえで、創エネ設備を組み合わせるという順序をおすすめしています。

指標をただ機械的に達成することが目的ではなく、その先にある快適な暮らしと家計の安定こそが本質だと考えています。

MIURAHOME標準仕様

まとめ

「日本の住宅基準」は断熱等級だけでなく、ZEH基準やBEIなど複数の指標から成り立っており、それぞれパッシブハウスとは評価の視点そのものが異なります。

ZEHは創エネによる収支ゼロ、BEIは総合的なエネルギー消費量、パッシブハウスは実測に基づく需要そのものの評価という、はっきりとした違いがあります。

住宅の性能を検討する際は、一つの指標だけで判断せず、複数の視点から総合的に理解しておくことをおすすめします。

指標の違いを知ることが、住宅会社の提案を正しく読み解く力につながります。

「ZEHです」「BEI0.8です」「省エネ基準クリアです」といった説明を聞いたときは、それが具体的にどの側面を評価しているものなのかを、一度立ち止まって確認してみることをおすすめします。

よくある質問

Q1. ZEH住宅ならパッシブハウス基準も満たしていますか?

必ずしもそうではありません。ZEHは創エネを含めた収支で判断されるため、建物そのものの性能自体はパッシブハウス基準に届かないケースも十分にあります。

Q2. BEIはどこで確認できますか?

住宅会社が作成する省エネ計算書や、BELS評価書などで確認できます。気になる場合は、遠慮なく担当者に確認してみてください。

Q3. すべての指標を最高水準にする必要がありますか?

必ずしも必要はありません。ご自身の予算や優先順位に応じて、どの指標を重視するかをじっくり検討することが現実的な進め方です。

Q4. ZEHと長期優良住宅はどう違いますか?

ZEHは主に省エネ性能に着目した基準、長期優良住宅は耐震性や維持管理のしやすさなども含めた総合的な基準です。両者は評価する目的そのものが異なります。

Q5. 太陽光発電はどの指標にも影響しますか?

ZEH基準には大きく影響しますが、パッシブハウスの暖房・冷房需要の評価には直接影響しません。太陽光発電は別枠で評価されることが多く、指標によって扱いが大きく異なります。

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参考文献

  • 国土交通省「住宅の省エネルギー基準に関する資料」
  • 経済産業省資源エネルギー庁「ZEHロードマップ」関連資料
  • Passive House Institute 関連資料
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