
リビングは暖かいのに、廊下や階段が寒いのはなぜ?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.03

目次
結論:温度差の原因は「暖房の偏り」と「断熱・気密のムラ」
リビングは暖かいのに廊下や階段、脱衣所が寒いのは、暖房が特定の部屋に集中していることに加え、住宅全体の断熱・気密性能が十分でないと、熱が均一に行き渡らないためです。高断熱・高気密な建物と、部屋間の熱の伝わり方を考えた間取り設計によって、この温度差は小さくできます。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「リビングは暖かいのに、
廊下に出た瞬間に寒い」
「お風呂に入る前の脱衣所が、一番つらい」
こうした経験は、
日本の住宅では、珍しくありません。
今回は、
なぜこうした温度差が生まれるのか、
解説します。
理由①:暖房が「部屋ごと」に設置されている
多くの住宅では、
エアコンやヒーターが、
リビングや寝室など、
特定の部屋にしか設置されていません。
廊下や階段、
脱衣所には、
暖房器具が置かれないことが一般的です。
当然、
暖房のない場所は、
寒くなりやすくなります。
理由②:断熱・気密性能のムラ

断熱・気密性能が低い住宅では、
暖房のある部屋の熱も、
壁や窓から外部へ、
どんどん逃げていきます。
その結果、
隣接する廊下や階段まで、
熱が十分に行き渡る前に、
建物の外に熱が抜けてしまうのです。
断熱性能が高い住宅であれば、
熱が逃げにくいため、
建物全体の温度が、
均一に近づきやすくなります。
理由③:間取りによる熱の伝わりにくさ
扉で仕切られた廊下や、
独立した階段室は、
リビングの熱が伝わりにくい構造になりがちです。
間取りの計画段階で、
「熱がどう伝わるか」を意識していないと、
温度差が生まれやすくなります。
吹き抜けや階段は、温度差の敵か味方か
「吹き抜けをつくると、寒くなる」
というイメージを、
持たれている方も多いかもしれません。
しかし、
これは断熱・気密性能次第です。
性能が低い住宅では、
吹き抜けや階段が、
冷気の通り道になってしまいます。
一方、
断熱・気密性能が高い住宅では、
吹き抜けや階段が、
むしろ家全体に熱を循環させる、
通り道として機能します。
つまり同じ間取りでも、
建物の性能によって、
「弱点」にも「強み」にもなり得るのです。
温度差が引き起こすリスク
部屋間の温度差は、
単なる「不快感」だけの問題ではありません。
急激な温度変化は、
血圧の変動を引き起こし、
ヒートショックのリスクを高めることが指摘されています。
WHO(世界保健機関)は、
冬季室温18℃以上を推奨しており、
これは特定の部屋だけでなく、
住宅全体を想定した基準です。
温度差を小さくする設計のポイント
温度差を小さくするには、
- 建物全体の断熱・気密性能を高める
- 熱の伝わり方を意識した間取り計画にする
- 計画換気によって、家全体の空気を循環させる
- 必要に応じて、廊下や脱衣所にも暖房計画を組み込む
といった工夫が有効です。
特に、
断熱・気密性能を高めることは、
「一部屋だけ暖める」発想から、
「家全体を暖める」発想への転換につながります。設計段階からこの視点を取り入れることが、結果的に最も効果的な対策になります。
長崎の住宅でも温度差は起こりやすい
長崎県は、
温暖なイメージがありますが、
冬場の朝晩は冷え込み、
寒暖差が大きくなる日もあります。
「そこまで寒くないから」と、
断熱・気密性能を軽視すると、
かえって部屋間の温度差が大きくなることがあります。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を基準に、建物全体の熱がムラなく保たれる設計を大切にしています。換気は熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)を採用し、家全体の空気と温度を計画的に循環させています。
「リビングだけ暖かい家」ではなく、「家中どこにいても快適な家」を目指すことが、私たちの考え方です。廊下や脱衣所といった、見落とされがちな場所こそ丁寧に設計することを大切にしています。

まとめ
リビングと廊下・階段の温度差は、
- 暖房が特定の部屋に集中していること
- 断熱・気密性能のムラ
- 熱の伝わり方を考えていない間取り
という要因が重なって生まれます。
単なる不快感ではなく、
ヒートショックのリスクにもつながるため、
「家全体で快適さを考える」という視点を、
大切にしてほしいと思います。
よくある質問
なぜリビングだけ暖かくなりやすいのですか?
多くの住宅では、エアコンなどの暖房器具がリビングや寝室など特定の部屋にしか設置されていません。廊下や階段、脱衣所には暖房器具が置かれないことが一般的なため、温度差が生まれやすくなります。
断熱性能を高めれば、部屋間の温度差はなくなりますか?
完全になくなるわけではありませんが、大きく小さくすることができます。断熱・気密性能が高いと熱が逃げにくくなるため、建物全体の温度が均一に近づきやすくなります。あわせて間取りや換気計画も重要です。
部屋間の温度差はどのくらいまでなら大丈夫ですか?
明確な基準はありませんが、WHOは冬季室温18℃以上を推奨しており、これは特定の部屋だけでなく住宅全体を想定した基準です。温度差が大きいほど、身体への負担やヒートショックのリスクが高まるとされています。
温度差を減らすために、今すぐできる対策はありますか?
既存の住宅では、廊下や脱衣所に小型の暖房器具を置く、断熱性能の低い窓に対策をするなどの部分的な工夫があります。ただし根本的な解決には、建物全体の断熱・気密性能を見直すことが重要です。
吹き抜けをつくると寒くなりますか?
断熱・気密性能が低い住宅では、吹き抜けや階段が冷気の通り道になり、寒さの原因になることがあります。一方、性能が高い住宅では、同じ吹き抜けや階段が家全体に熱を循環させる通り道として機能します。性能次第で、弱点にも強みにもなります。
全館空調にすれば温度差はなくなりますか?
全館空調は温度差の解消に有効な手段の一つですが、断熱・気密性能が低い住宅では、熱がすぐに逃げてしまい効果が十分に発揮されないことがあります。まずは建物自体の断熱・気密性能を高めることが土台になります。
断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、家全体の温度差を実際に体感いただける完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 世界保健機関(WHO)「Housing and health guidelines」(冬季室温に関する推奨値)
- 国土交通省 建築物省エネ法における外皮性能・気密性能に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準