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三浦 恭輔

高気密と高断熱はセットで語られるが、実は別の性能です|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方

2026.06.04

高気密と高断熱は実は別の性能です|MIURAHOME

結論:断熱と気密は「別の性能」であり、両方揃って初めて機能する

「高気密・高断熱」はセットで語られますが、断熱(UA値)と気密(C値)は測定方法も役割も全く異なる、別々の性能です。どちらか一方だけが優れていても、住まいの快適性・省エネ性は十分に発揮されません。 長崎の様に高温多湿で、夏冬の温熱環境への対策が必要な地域では、この2つをセットで考えることが特に重要です。

この記事の執筆者

三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。


はじめに

家づくりの話をしていると、

「高気密・高断熱の家です」

という言葉を、よく耳にします。

まるで一つの性能のように語られますが、

実はこれ、

全く別の性能です。

今回は、

「断熱」と「気密」は何が違うのか、

なぜ両方揃って初めて意味を持つのか、

について解説します。


「高断熱」とは何か

断熱性能は、

「熱の逃げにくさ」

を表します。

代表的な指標が、

「UA値(外皮平均熱貫流率)」

です。

壁・屋根・床・窓などから、

どれだけ熱が逃げるかを数値化したもので、

数値が小さいほど、

断熱性能が高いことを意味します。


「高気密」とは何か

気密性能は、

「隙間の少なさ」

を表します。

代表的な指標が、

「C値(相当隙間面積)」

です。

床面積1㎡あたりの隙間面積を表す数値(単位cm²/㎡)を表したもので、

数値が小さいほど、

気密性能が高いことを意味します。

高気密住宅の目安として、

「C値1.0以下」

がよく挙げられます。


なぜ「セット」で語られるのか

UA値もC値も、

「高性能住宅」の指標として扱われるため、

まとめて語られがちです。

しかし実際には、

計算方法も、

評価している対象も、

全く違います。

  • 断熱=壁や窓など「面」から逃げる熱の量
  • 気密=隙間から出入りする「空気」の量

この違いを理解しないまま、

「高気密・高断熱」という言葉だけで、

住宅性能を判断するのは危険です。


断熱性能が高くても、気密が低いとどうなるか

断熱材を厚く入れても、

壁の中に隙間があると、

そこから空気が流れ込みます。

この現象は、

「気流止め」の不足

と呼ばれます。

結果として、

  • 断熱材の性能が十分に発揮されない
  • 壁の中で結露(内部結露)が起きやすくなる
  • 断熱材や構造材の劣化が早まる

という問題が起こります。

つまり、

「厚い断熱材=高性能」

とは限らないのです。


気密性能が高くても、断熱が低いとどうなるか

隙間が少なくても、

壁や窓の断熱性能が低ければ、

熱そのものは面から逃げていきます。

結果として、

  • 冬は思ったより暖かくならない
  • 夏は熱がこもりやすく、蒸し暑さを感じやすい

ということが起こります。

気密は「守りの性能」であり、

断熱という土台があって初めて、

効果を発揮します。


図解:断熱×気密の組み合わせで何が変わるか

断熱と気密の組み合わせによる暮らしの違い(4パターン)

図のように、

断熱と気密は、

どちらか一方が高いだけでは、

本来の快適性・省エネ性を発揮できません。

両方が揃って初めて、

「高性能住宅」と呼べる状態になります。


長崎で断熱・気密の両方が重要な理由

長崎県は、

  • 高温多湿
  • 海風の影響を受けやすい
  • 寒暖差が大きい

という気候特性があります。

気密性能が低いと、

湿った外気が壁内に入り込みやすくなり、

内部結露やカビのリスクが高まります。

断熱性能が低いと、

夏の蒸し暑さや冬の底冷えを、

そのまま室内に持ち込んでしまいます。

だからこそ長崎では、

断熱と気密、

どちらか一方ではなく、

両方に明確な基準を持つことが欠かせません。

気密性能は、どうやって測るのか

C値は、

計算だけで求められる数値ではありません。

「気密測定」という、

専用の機械を使った実測によって、

初めて明らかになります。

気密測定では、

建物内の空気を機械で強制的に排出し、

室内外の圧力差から、

隙間の量を算出します。

この方法は、

「ブロワードアテスト」

とも呼ばれます。

ここで重要なのは、

C値は「設計上の予想値」ではなく、

「完成した建物の実測値」だということです。

つまり、

図面上どれだけ高気密を謳っていても、

実際に測定していなければ、

その数値の信頼性は分かりません。

住宅会社を選ぶ際は、

「気密測定を全棟で実施しているか」

を確認することを、おすすめします。


MIURAHOMEの考え方

MIURAHOMEでは、断熱性能について「UA値0.35以下」を最低ライン、「UA値0.26以下(G3・パッシブハウス相当)」を推奨基準としています。

気密性能についても、断熱と切り離さず、具体的な数値目標を持っています。目安として「C値0.19以下(cm²/㎡)」を基準とし、換気は熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)を標準としています。

断熱・気密ともに、最終的に見ているのは数値そのものではなく「冷暖房需要(kWh/㎡)」です。これはお客様に直接還元される快適さ・経済効果を最も正直に表す指標であり、この数値を明示していない住宅会社が多いことに、私たちは問題意識を持っています。

数値はあくまで手段であり、目的は「今」だけでなく「100年後」も、家族が健康に暮らし続けられる住まいです。

MIURAHOME標準仕様一覧(UA値・C値・換気・窓・耐震ほか)

まとめ

「高気密・高断熱」は、

一つの言葉のように使われますが、

実際には、

  • 断熱=熱の逃げにくさ(UA値)
  • 気密=隙間の少なさ(C値)

という、別々の性能です。

どちらか一方だけでは、

本来の快適性・省エネ性・耐久性は発揮されません。

長崎で家を建てるなら、

断熱と気密、

両方の数値をきちんと確認することをおすすめします。


よくある質問

断熱と気密、どちらが重要ですか?

どちらか一方が重要というものではありません。断熱は「熱の逃げにくさ」、気密は「隙間の少なさ」を表す別の性能で、両方が揃って初めて本来の効果を発揮します。

高気密住宅の目安となるC値はどのくらいですか?

一般的に「C値1.0以下」が高気密住宅の目安とされています。数値が小さいほど隙間が少なく、気密性能が高いことを意味します。

断熱材を厚くすれば、それだけで高性能な家になりますか?

断熱材を厚くするだけでは不十分です。気密が低いと壁内に空気が流れ込み(気流止めの不足)、断熱材本来の性能が発揮できないだけでなく、内部結露のリスクも高まります。

気密性能が高いと息苦しくなりませんか?

気密性能は「計画換気」とセットで考える必要があります。適切な換気計画があれば、気密性能が高くても息苦しさにはつながりません。

長崎で断熱・気密が特に重要なのはなぜですか?

長崎は高温多湿・海風・寒暖差という気候特性があり、気密が低いと湿った外気が壁内に入り込みやすく、内部結露やカビのリスクが高まります。断熱が低いと夏の蒸し暑さ・冬の底冷えがそのまま室内に伝わります。


断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ

MIURAHOMEでは、実際の性能や暮らしの違いを体感いただける完成見学会・個別相談を随時受け付けています。

「我が家に必要な性能はどのくらい?」など、お気軽にご相談ください。


関連コラム


参考文献

本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。

  • 国土交通省 建築物省エネ法における外皮性能(UA値)・気密性能(C値)の算出方法に関する資料
  • 一般社団法人 HEAT20 グレード別外皮性能水準に関する公表資料
  • 断熱・気密施工に関する業界解説資料(気流止め・内部結露に関する一般的な技術解説)
  • MIURAHOME 社内施工基準
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