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三浦 恭輔

アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂サッシの違い|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方

2026.06.24

アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂サッシの違い|MIURAHOME

結論:アルミは樹脂・木材の約1,300倍熱を伝えやすい。断熱性能を求めるならアルミサッシは選ぶべきではない

窓枠(サッシ)の素材には、アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂・木製の4種類があります。アルミニウムの熱伝導率は約210 W/(m・K)、樹脂は約0.16 W/(m・K)、木材は約0.12 W/(m・K)と、アルミとの差はおよそ1,300倍にのぼります。サッシ枠全体の熱貫流率(Uf値)で見ても、アルミ6.51・アルミ樹脂複合4.65・樹脂と木製2.33 W/(㎡・K)(国の基準値)と、アルミが突出して不利です。この違いが結露のしやすさや室内の快適さに直結するため、断熱性能を重視する住宅において、アルミサッシは選択肢から外すべき素材です。

この記事の執筆者

三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。


はじめに

窓の性能というと、

ガラスの種類(ペアガラス・トリプルガラス)に、

目が向きがちです。

しかし窓は、

ガラスとサッシ(窓枠)の組み合わせでできています。

この記事では、

サッシの素材による違いを解説します。

窓選びの見落としがちなポイントとして、

ぜひ参考にしてください。


サッシ素材、4タイプの特徴

サッシ素材4タイプの特徴(アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂・木製)
  • アルミサッシ:金属製で、熱を伝えやすい。安価で耐久性は高いが、断熱性能は低い
  • アルミ樹脂複合サッシ:室外側にアルミ、室内側に樹脂を使う組み合わせ。性能とコストのバランス型
  • 樹脂サッシ:全体が樹脂製。熱を伝えにくく、断熱性能が高い
  • 木製サッシ:天然木を使用。断熱性能は樹脂サッシと同等クラスで、意匠性の高さも特徴

かつて日本の住宅では、

アルミサッシが主流でした。

近年は、

断熱性能への意識の高まりから、

樹脂サッシや複合サッシへの切り替えが進んでいます。


なぜアルミは熱を伝えやすいのか。数字で比較する

アルミニウムは金属の一種で、

熱を伝える性質(熱伝導率)が非常に高い素材です。

フライパンや鍋にアルミが使われるのも、

熱をすばやく伝えられるためです。

具体的な数字で見てみます。

アルミニウムの熱伝導率は、

約210 W/(m・K)。

一方、サッシに使われる樹脂(塩化ビニル樹脂)の熱伝導率は、

約0.16 W/(m・K)程度です。

アルミニウムと樹脂(塩化ビニル)の熱伝導率の比較

数字を比べると、

アルミニウムは樹脂のおよそ1,300倍、

熱を伝えやすい計算になります。

ちなみに木材(針葉樹)の熱伝導率は、

約0.12 W/(m・K)程度とされ、

樹脂とほぼ同じか、

やや低いレベルです。

つまり木材も、

アルミとは比較にならないほど、

熱を伝えにくい素材だといえます。

この性質は調理器具には便利ですが、

住宅の窓枠としては、

室内の熱を外へ、

外の熱を室内へ、

桁違いに通しやすくしてしまう弱点になります。


断熱性能を求めるなら、アルミサッシという選択肢はありません

ここまでの数字が示す通り、

アルミサッシは、

断熱性能の観点において、

明確に不利な素材です。

壁や屋根でどれだけ断熱性能(UA値)を高めても、

窓にアルミサッシを使ってしまえば、

そこから熱が大きく逃げてしまいます。

高断熱・高気密な住宅を目指すのであれば、

アルミサッシは、

選択肢から外すべき素材だとMIURAHOMEでは考えています。

これは好みの問題ではなく、

熱伝導率という物理的な性質から導かれる、

明確な結論です。


4種類のサッシ枠を、公的な基準値で比較する

アルミと樹脂という、

素材そのものの熱伝導率だけでなく、

サッシ枠(建具)としての性能を比較する指標もあります。

「熱貫流率(Uf値)」と呼ばれる数値で、

単位面積・単位温度差あたりに、

枠を通じて逃げる熱の量を示します。

国の省エネ基準で示されている、

建具の熱貫流率の基準値をもとに、

4種類のサッシ枠を比較すると、

次のようになります。

建具(サッシ枠)の熱貫流率(Uf値)の比較(アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂・木製)
  • アルミサッシ:6.51 W/(㎡・K)
  • アルミ樹脂複合サッシ:4.65 W/(㎡・K)
  • 樹脂サッシ:2.33 W/(㎡・K)
  • 木製サッシ:2.33 W/(㎡・K)

アルミ樹脂複合サッシは、

アルミサッシと樹脂サッシの、

ちょうど中間に位置する数値です。

樹脂サッシと木製サッシは、

基準上、同じ区分の数値になっており、

断熱性能としては同等クラスと考えてよいでしょう。

数値はいずれも国の基準値であり、

実際の製品は、

これより性能が高いものも販売されています。

あくまで素材ごとの傾向をつかむための、

目安として参考にしてください。


結露のしやすさへの影響

冬の朝、

アルミサッシの窓枠が、

びっしょり濡れているのを見たことがある方も、

多いのではないでしょうか。

これは、

外の冷たさがアルミを通じて、

室内側のサッシ表面まで伝わり、

表面温度が下がることで起こる結露です。

樹脂サッシは熱を伝えにくいため、

室内側の表面温度が下がりにくく、

結露の発生を抑えやすくなります。


世界の窓事情:樹脂・木製サッシの普及率を国際比較する

欧米の寒冷な地域では、

樹脂サッシや木製サッシが、

主流になっている国が多くあります。

一方日本では、

高度経済成長期以降、

加工のしやすさや価格の安さから、

アルミサッシが広く普及しました。

主要国における樹脂・木製サッシ(断熱窓)の普及率比較

断熱窓(樹脂サッシ・木製サッシ)の普及率は、

イギリスやドイツでは8割を超える一方、

日本は2割台にとどまっている、

という数値が、

複数の業界資料で共通して紹介されています。

具体的な数値は出典や調査年によって差がありますが、

「日本は主要国の中で、

断熱窓の普及がもっとも遅れているグループに入る」

という傾向そのものは、

多くの資料に共通しています。

近年は、

省エネ基準の強化にともない、

樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシへの、

切り替えが少しずつ進んでいます。

それでも、

世界的に見ると、

日本の樹脂サッシの普及率は、

まだ発展途上といえる状況です。


コストと性能、どちらを取るか

アルミサッシは、

4種類の中でもっとも安価で、

経年劣化にも強い素材です。

樹脂サッシは、

断熱性能が高い一方、

アルミサッシと比べると、

費用は高くなる傾向があります。

アルミ樹脂複合サッシは、

その中間に位置し、

コストを抑えながら、

一定の断熱性能を確保したい場合に選ばれています。

木製サッシは、

断熱性能では樹脂サッシと同等クラスながら、

定期的な塗装などのメンテナンスが必要な点が、

選定時の判断材料になります。


長崎の気候でも、樹脂サッシは必要か

長崎は、

寒冷地と比べれば冬の寒さは穏やかです。

それでも冬場、

室内外の温度差が生じる限り、

アルミサッシでは結露や熱損失のリスクが残ります。

高断熱・高気密な住宅を目指すのであれば、

気候に関わらず、

窓まわりの弱点を減らしておくことが重要です。


MIURAHOMEの考え方

MIURAHOMEでは、窓に樹脂枠・日射遮蔽型トリプルガラスを標準採用し、南面中心に配置しています。サッシ素材による熱の伝わりやすさの違いを踏まえ、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」を実現するうえで、樹脂サッシを重要な要素のひとつと位置づけています。

窓は住宅の中でもっとも熱の影響を受けやすい部位です。ガラスだけでなく、サッシの素材まで含めて性能を考えることが、快適な室内環境につながります。カタログスペックだけでなく、実際に採用している窓のサッシ断面を見学会でご確認いただくことも可能です。

MIURAHOME標準仕様一覧(UA値・C値・換気・窓・耐震ほか)

まとめ

サッシの素材には、

アルミ・アルミ樹脂複合・樹脂・木製の4種類があります。

アルミは樹脂・木材のおよそ1,300倍熱を伝えやすく、

この物理的な性質の違いが、

結露のしやすさや快適さに直結します。

世界的に見ても、

断熱窓の普及が遅れている日本だからこそ、

断熱性能を求めるなら、

アルミサッシは選択肢から外すという判断が重要です。

窓の性能を比較する際は、

ガラスの種類だけでなく、

サッシの素材にも注目してみてください。

カタログや仕様書に、

「ガラス:トリプルガラス」とだけ書かれていても、

サッシがアルミ製であれば、

窓全体としての性能は、

期待したほど高くない場合があります。


よくある質問

アルミ樹脂複合サッシは、どれくらいの性能ですか?

アルミサッシと樹脂サッシの中間的な性能です。室内側に樹脂を使うことで、室内側の表面温度が下がりにくくなり、アルミサッシと比べて結露を抑えやすくなります。オール樹脂サッシほどの性能ではありませんが、コストとのバランスを取りやすい選択肢です。

樹脂サッシは、耐久性に問題はありませんか?

紫外線による劣化を抑える工夫がされた製品が多く、一般的な使用環境において、実用上大きな問題が生じることは少ないとされています。ただし製品によって耐久性は異なるため、採用実績や保証内容を確認することをおすすめします。

既存の窓を樹脂サッシに交換することはできますか?

リフォームで既存の窓枠の内側に新しい樹脂サッシを設置する「内窓」や、既存の枠を残したまま新しいサッシに交換する工法があります。断熱性能の向上を目的としたリフォームとして、比較的取り入れやすい方法のひとつとして知られています。

サッシの色は、性能に影響しますか?

色そのものが断熱性能に大きく影響することは少ないですが、濃い色は日射を吸収しやすく、サッシ表面の温度が上がりやすい傾向があります。デザイン性とあわせて、設置場所の日射条件も考慮するとよいでしょう。夏の西日が強く当たる面では、色選びにも注意が必要です。

アルミサッシは、絶対に使ってはいけないのですか?

用途によっては選択肢になり得ます。たとえば断熱性能をあまり求めない物置や倉庫、ガレージなどでは、安価で耐久性の高いアルミサッシにも合理性があります。ただし居室の窓、特に高断熱・高気密な住宅を目指す場合は、熱伝導率の差(約1,300倍)を踏まえると、アルミサッシは選ぶべきではありません。

木製サッシという選択肢もあると聞きましたが、どうですか?

木製サッシは断熱性能が高く、意匠性にも優れた選択肢です。ただし定期的なメンテナンス(塗装の塗り直しなど)が必要になることが多く、費用や手間の面で樹脂サッシとは異なる特徴があります。ライフスタイルに合わせて検討するとよいでしょう。


窓の性能について、もっと詳しく知りたい方へ

MIURAHOMEでは、サッシ素材による違いを実際に体感いただける完成見学会・個別相談を随時受け付けています。

お気軽にご相談ください。


関連コラム


参考文献

本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。

  • 国立研究開発法人 建築研究所 窓の断熱性能に関する資料
  • 一般社団法人 日本サッシ協会 サッシ素材に関する資料
  • 化学便覧・木材工学関連資料等に基づくアルミニウム・塩化ビニル樹脂・木材(針葉樹)の熱伝導率の一般値
  • 建築物省エネ法における建具(サッシ枠)の熱貫流率の基準値に関する資料
  • 国内外の窓・サッシ関連団体資料で紹介されている、主要国の断熱窓(樹脂・木製サッシ)普及率に関する目安値(出典・調査年により数値は異なります)
  • MIURAHOME 社内施工基準
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