
WHOが冬の室温18℃以上を推奨する理由|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.25

目次
結論:WHOは健康を守るために、冬季の室温18℃以上を推奨している
世界保健機関(WHO)は2018年に発表したガイドラインで、冬季の室内温度を18℃以上に保つことを推奨しています。これは快適さの基準ではなく、血圧の上昇や心血管疾患など、健康リスクを抑えるための基準です。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「冬は寒いのが当たり前」
と感じている方は、
多いかもしれません。
しかし世界保健機関(WHO)は、
冬の室温について、
明確な数値目標を示しています。
この記事では、
その根拠と、
日本の住宅の実態について解説します。
WHOが示す「住宅と健康に関するガイドライン」とは
WHO(世界保健機関)は2018年、
「Housing and health guidelines」
(住宅と健康に関するガイドライン)を発表しました。
このガイドラインの中で、
寒冷な季節における室内の最低温度として、
18℃を強く推奨しています。
さらに、
高齢者・乳幼児・持病のある方がいる家庭では、
より高い室温(20℃程度)を推奨するとされています。
なぜ18℃という数字なのか
この数値は、
単なる「快適さ」の基準ではありません。
寒い室内で過ごすことによる、
健康への悪影響を防ぐための基準です。
室温が低い環境は、
血圧の上昇や、
心血管疾患・呼吸器疾患のリスクと、
関連することが指摘されています。
特に高齢の方にとっては、
室温の低下が、
命に関わるリスクにもなり得ます。
18℃は「最低ライン」であって、目標ではない
注意したいのは、
18℃という数字が、
「これだけあれば十分」
という目標値ではなく、
「これを下回ってはいけない」
という最低ラインだという点です。
高齢者や乳幼児がいる家庭では、
さらに高い室温が推奨されており、
18℃はあくまで、
健康リスクを避けるための下限値と捉える必要があります。
寒さが引き起こす、身近なリスク「ヒートショック」
室温の低さが引き起こす、
身近なリスクのひとつが、
ヒートショックです。
暖かいリビングから、
寒い脱衣所・浴室へ移動する際の、
急激な温度差により、
血圧が大きく変動し、
失神や心筋梗塞、脳卒中などを、
引き起こすことがあります。
入浴中の事故による死亡者数は、
国内で年間1万9千人程度にのぼるという推計もあり、
交通事故による死者数を、
上回る規模だと指摘されています。
その多くが、
冬場の急激な温度変化に、
関係していると考えられています。
日本の住宅は、18℃を保てているか

国内の調査研究では、
断熱性能の低い住宅において、
冬の朝、
リビングでも18℃を下回るケースが、
珍しくないことが報告されています。
脱衣所やトイレなど、
暖房のない場所ではさらに室温が下がり、
10℃前後まで冷え込む住宅も見られます。
高断熱住宅であれば、
家全体を暖房することで、
WHOが推奨する18℃以上を、
保ちやすくなります。
18℃を実現するために必要な、住宅性能
家全体を18℃以上に保つには、
リビングだけを暖房するのではなく、
家全体を暖める必要があります。
これを現実的な暖房費で実現するためには、
断熱性能(UA値)・気密性能(C値)を高め、
熱が逃げにくい住宅にすることが欠かせません。
断熱性能が低い住宅で、
家全体を18℃以上に保とうとすると、
暖房費が大きくかさんでしまいます。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を標準とし、家全体を無理なく暖められる住宅を目指しています。WHOが示す18℃という基準を、特別な暖房費をかけずに実現できることが、高断熱・高気密住宅の価値のひとつだと考えています。
熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)とあわせて、家中どこにいても健康的な温度で過ごせる住まいを設計しています。

まとめ
WHOは2018年のガイドラインで、
冬季の室温を18℃以上に保つことを推奨しています。
これは快適さのためではなく、
血圧上昇や心血管疾患など、
健康リスクを避けるための基準です。
日本の住宅では、
この基準を下回っているケースも少なくありません。
断熱・気密性能を高めることは、
快適さだけでなく、
健康を守るための投資でもあります。
よくある質問
18℃という数字は、どんな根拠に基づいていますか?
WHOが2018年に発表した「Housing and health guidelines」に基づく数値です。寒い室内環境と、血圧上昇や心血管疾患、呼吸器疾患などのリスクとの関連を踏まえ、健康を守るための最低ラインとして示されています。
18℃あれば、健康リスクはまったくないのですか?
18℃はあくまで最低ラインであり、これを満たせば安全というわけではありません。特に高齢者・乳幼児・持病のある方がいる家庭では、より高い室温(20℃程度)が推奨されています。個人の健康状態に応じて、余裕を持った室温を心がけることが大切です。
エアコンを強くすれば、18℃は簡単に保てませんか?
断熱性能が低い住宅では、エアコンを強めても熱がすぐに逃げてしまうため、室温を保つのに大きな暖房費がかかります。家全体を効率よく18℃以上に保つには、断熱・気密性能を高めることが、現実的な暖房費で実現するための近道です。
脱衣所やトイレも18℃に保つべきですか?
理想的にはそうです。ヒートショックのリスクは、リビングと脱衣所・トイレの温度差が大きいほど高まるとされています。家の中の温度差をできるだけ小さくすることが、家全体の健康リスクを下げることにつながります。
WHOのガイドラインは、日本の基準にも反映されていますか?
日本でも近年、健康と住宅性能の関係についての研究や啓発が進んでおり、国土交通省なども室温と健康リスクに関する調査を行っています。ただしWHOのガイドラインのように、住宅の室温そのものを法的に規制する基準は、現時点の日本にはありません。断熱・気密性能は、任意の取り組みとして各住宅会社の判断に委ねられている部分が大きいのが実情です。
健康に配慮した住宅性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、家全体を暖かく保てる設計について実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 世界保健機関(WHO)「WHO Housing and health guidelines」(2018年)
- 国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進事業に関する調査資料
- 消費者庁 入浴中の事故に関する報道発表資料
- MIURAHOME 社内施工基準