
第一種換気と第三種換気、何が違う?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.26

目次
結論:給気を機械で行うかどうかが、もっとも大きな違い
第一種換気は給気・排気の両方を機械で行い、第三種換気は給気を自然に任せ、排気だけを機械で行います。この違いが、冬の冷たい外気の入り方や、熱交換による省エネ性能の有無に直結します。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
住宅の換気システムには、
「第一種換気」「第三種換気」
という呼び方があります。
名前だけでは、
何が違うのか分かりにくいものです。
この記事では、
それぞれの仕組みと、
高断熱・高気密住宅との相性について解説します。
換気システム選びで迷っている方は、
ぜひ参考にしてください。
「種類」は、給気・排気の組み合わせで決まる

換気の種類は、
「給気」(空気を取り込む)と、
「排気」(空気を排出する)を、
それぞれ機械で行うか、
自然に任せるかの組み合わせで分類されます。
- 第一種換気:給気・排気とも機械で行う
- 第二種換気:給気を機械、排気を自然に任せる(住宅ではほとんど採用されません)
- 第三種換気:給気を自然に任せ、排気を機械で行う
住宅で主に採用されるのは、
第一種換気と第三種換気の、
どちらかです。
第三種換気の仕組みとメリット・デメリット
第三種換気は、
壁に設けた給気口から、
自然に外気を取り込み、
換気扇で室内の空気を、
機械的に排出する仕組みです。
メリットは、
構造がシンプルで、
初期費用やメンテナンス費用を、
抑えやすい点です。
一方デメリットとして、
冬の冷たい外気が、
そのまま室内に入ってくるため、
給気口付近で「コールドドラフト」
と呼ばれる冷気を感じやすくなります。
第一種換気(熱交換型)の仕組みとメリット・デメリット
第一種換気は、
給気・排気の両方を、
機械で行う方式です。
多くの製品では、
熱交換素子を通すことで、
排出する空気の熱を、
取り込む空気に伝える、
「熱交換換気」の仕組みを備えています。
メリットは、
外気をある程度暖めて(冷やして)から、
室内に取り込めるため、
冷気の流入を抑えられる点です。
給気・排気の風量を、
計画的にコントロールしやすいのも特徴です。
デメリットとしては、
初期費用が第三種換気より高くなりやすく、
ダクトの清掃など、
定期的なメンテナンスが必要になる点が挙げられます。
高断熱・高気密住宅には、なぜ第一種が向いているのか
断熱性能(UA値)を高めても、
換気によって、
冷たい外気がそのまま入ってくれば、
その効果は薄れてしまいます。
第三種換気では、
給気口から入る外気の温度を、
コントロールできません。
一方、
第一種換気(熱交換型)であれば、
外気を室温に近づけてから取り込めるため、
高めた断熱性能を、
無駄にしにくくなります。
また気密性能(C値)が低い住宅では、
計画していない隙間からも、
空気が出入りしてしまうため、
第一種換気の効果を、
十分に発揮できません。
第一種換気(熱交換型)は、
高い気密性能とセットではじめて、
真価を発揮する仕組みだといえます。
給気口の位置が、快適さを左右することもある
第三種換気では、
給気口の位置によって、
冷気を感じやすい場所が変わります。
ソファやベッドの近くに、
給気口が設置されていると、
冬場に冷たい空気を、
直接感じやすくなることがあります。
第一種換気(熱交換型)であれば、
取り込む空気があらかじめ暖められているため、
給気口の位置による影響を、
受けにくくなります。
間取りの自由度という観点でも、
第一種換気には利点があります。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)を標準採用しています。気密性能「C値0.19以下」を実現しているからこそ、計画換気のルートを設計通りにコントロールでき、熱交換換気の効果を十分に発揮できると考えています。
断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」とあわせて、季節を問わず快適な空気環境を保てるよう設計しています。

まとめ
第一種換気は給気・排気とも機械で行い、
多くは熱交換機能を備えています。
第三種換気は排気のみ機械で行い、
構造がシンプルな分、
冷たい外気がそのまま入ってきます。
高断熱・高気密住宅を目指すのであれば、
熱交換機能を備えた第一種換気が、
性能を活かしやすい選択肢です。
ただしその効果は、
気密性能とセットで、
はじめて十分に発揮されます。
換気方式を選ぶ際は、
価格だけでなく、
住宅全体の断熱・気密性能とのバランスで、
判断することをおすすめします。
よくある質問
第三種換気は、性能が低い住宅にしか使えませんか?
そうではありません。第三種換気は費用を抑えられる仕組みであり、多くの住宅で採用されています。ただし高断熱・高気密住宅では、冷気の流入や熱損失の影響を受けやすいため、第一種換気(熱交換型)の方が性能を活かしやすい傾向があります。
第一種換気は、電気代がかかりませんか?
給気・排気それぞれにファンを使うため、第三種換気よりも消費電力は増える傾向があります。ただし熱交換によって暖房・冷房の負荷を抑えられるため、住宅全体で見ると、光熱費が必ずしも高くなるとは限りません。ファンの消費電力と、熱交換による省エネ効果をあわせて考えることが大切です。
熱交換換気は、夏の冷房でも効果がありますか?
効果があります。冬は排気の暖かさを給気に伝え、夏は排気の涼しさを給気に伝えることで、外気との温度差を緩和します。季節を問わず、冷暖房の負荷を抑える効果が期待できます。
換気システムのメンテナンスは、どれくらいの頻度が必要ですか?
フィルターの清掃は、数か月に一度程度が目安とされています。第一種換気の場合、熱交換素子やダクト内部の清掃も定期的に必要です。メーカーが推奨するメンテナンス周期を確認し、計画的にお手入れすることをおすすめします。
今の家が第三種換気の場合、第一種換気に交換できますか?
物理的には可能ですが、ダクトの新設や気密性能の見直しなど、大がかりな工事が必要になるケースが多く、新築時に採用するよりもコストがかかる傾向があります。リフォームでの導入を検討する場合は、専門業者に現地調査を依頼することをおすすめします。
換気システムについて、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、第一種熱交換換気の仕組みを実際にご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 建築基準法における居室の換気設備に関する規定
- 一般社団法人 換気システム工業会 換気方式に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準