
空気がきれいな家とは何を意味するのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.08.09

結論:「空気がきれいな家」とは、CO₂濃度・湿度・化学物質・粉じん・においという5つの要素がバランスよく管理されている状態を指し、どれか一つだけでは判断できない
「空気がきれいな家」と聞いて、何を思い浮かべますか。自然素材の香り、換気の良さ、ホコリの少なさ——人によってイメージはさまざまです。今回は、この言葉を具体的な要素に分解して整理していきます。
この記事を書いた執筆者について
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
「きれいな空気」は曖昧な言葉
住宅の広告やカタログでは、「きれいな空気」「新鮮な空気」という言葉が日常的によく使われます。
しかし、この言葉が具体的に何を指しているのかは、実はあまり明確にされていません。
においがしないことなのか、ホコリが少ないことなのか、それとも数値で測れる何かなのか、人によって思い浮かべるイメージは異なります。
感覚的な言葉のまま終わらせず、具体的な要素に一つずつ分解して考えることが、住宅選びの精度を高める確かな第一歩です。
「空気がきれいな家」を構成する5つの要素
室内空気質を専門的に考える際、一般的によく注目されるのは、大きく次の5つの要素です。
1つ目はCO₂濃度です。人の呼吸によって増加し、換気量が不足するとすぐに上昇します。
2つ目は湿度です。高すぎればカビやダニの温床になり、低すぎれば乾燥やウイルスの活性化を招きます。
3つ目は化学物質(VOC)です。建材や家具から放出される揮発性有機化合物で、シックハウス症候群の一因とされています。
4つ目は粉じん・花粉です。屋外から侵入したり、室内で発生したりする、目に見えにくい微小な粒子です。
5つ目はにおいです。生活臭やペット臭など、数値化しづらいものの、快適性にとても大きく影響する要素です。

一つだけ対策しても不十分な理由
この5つの要素は、一見それぞれ独立しているようで、実は互いに密接に関係し合っています。
たとえば、換気を強化すればCO₂濃度は下がりますが、換気量が過剰になれば湿度が下がりすぎて、冬場の乾燥を招くこともあります。
また、消臭剤や芳香剤でにおいを一時的に消しても、根本のCO₂濃度や化学物質の量が改善されるわけではありません。
「においがしないから空気がきれい」というのは、あくまで5つの要素のうちの一つが良好なだけであり、他の要素まで含めてきちんと評価できているとは限らないのです。
本当に空気がきれいな家を目指すのであれば、5つの要素を個別にではなく、バランスとして捉える視点が欠かせません。
たとえばCO₂濃度と湿度は、換気量を増やすほど改善しやすい一方、化学物質の放散は建材そのものの選定に左右されるため、換気量を増やすだけでは根本的な解決にならないこともあります。
それぞれの要素にどんな対策が有効なのかを理解した上で、優先順位をつけて向き合うことが、現実的なアプローチと言えます。
住宅性能でできること・生活習慣でできること
5つの要素のうち、CO₂濃度・湿度・化学物質は、換気システムや建材の選定という住宅性能によって、ある程度コントロールが可能です。
計画換気による安定した空気の入れ替え、低ホルムアルデヒド建材の採用などが、その代表的で効果の高い対策です。
一方、粉じん・花粉やにおいは、住宅性能だけでなく、日々の掃除や生活習慣もかなり大きく影響する要素です。
つまり「空気がきれいな家」は、住宅の性能と、そこに住む人の生活習慣、両方がかみ合って初めて実現するものだと言えます。
どれほど高性能な住宅であっても、換気を止めてしまったり、掃除を怠ったりすれば、室内空気質は簡単に悪化してしまいます。
逆に、生活習慣だけを工夫しても、換気設計が不十分な住宅では、CO₂濃度や化学物質の管理に限界があります。
住宅性能という土台の上に、日々の生活習慣を積み重ねていく——この考え方が、空気がきれいな家を長く維持するための基本になります。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、熱交換率80%以上の第一種換気システムと、給気・排気のレイアウト設計によって、CO₂濃度や湿度を安定して管理できる住まいづくりを行っています。
建材選定においても、化学物質の放散量に配慮した製品を積極的に採用し、化学物質面での不安をできる限り減らす工夫をしています。
「空気がきれいな家」を一つのキャッチコピーで終わらせず、5つの要素それぞれにどう向き合っているかを、お客様に具体的にお伝えすることを大切にしています。
C値0.19以下の高い気密性能を確保しているからこそ、計画換気の効果が家の隅々まで意図した通りに行き渡り、意図しない隙間からの湿気や粉じんの侵入も抑えられます。
気密・断熱・換気・建材という複数の要素が連動して初めて、本当の意味で「空気がきれいな家」が実現すると考えています。

まとめ
「空気がきれいな家」という言葉は、CO₂濃度・湿度・化学物質・粉じん・においという5つの要素に分解して考えることができます。
どれか一つだけを対策しても、本当の意味で空気がきれいな家にはなりません。
住宅選びの際は、感覚的な「きれいさ」だけに頼らず、これら5つの要素にどう対応しているかを具体的に確認することをおすすめします。
言葉のイメージに頼らず、要素ごとに分解して考える視点が、後悔しない住まい選びにつながります。
住宅会社に説明を求める際は、「空気はきれいですか」ではなく、「CO₂濃度・湿度・化学物質にそれぞれどう対応していますか」と具体的に質問してみることをおすすめします。
よくある質問
Q1. 5つの要素の中で最も優先すべきものはありますか?
生活スタイルや家族構成によって優先度は変わりますが、CO₂濃度と湿度は日常的に影響を受けやすいため、まず換気の安定性から確認することをおすすめします。
Q2. 空気清浄機だけでこれらの要素は改善できますか?
粉じんの除去には効果がありますが、CO₂濃度の低下や湿度の調整には限界があります。あくまで計画換気との併用が望ましいです。
Q3. 化学物質の放散量はどこで確認できますか?
建材にはホルムアルデヒド放散量を示す等級表示があります。気になる場合は、住宅会社に使用建材の等級を確認してみてください。
Q4. においが気になる場合、まず何をすべきですか?
消臭剤で一時的に対処するより、換気量が適切かどうか、給排気口がふさがれていないかをまず落ち着いて確認することをおすすめします。
Q5. 新築時にできる対策には何がありますか?
低ホルムアルデヒド建材の採用、適切な換気設計、掃除のしやすい間取りなど、設計段階から取り組める対策は数多くあります。
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参考文献
- 国土交通省「シックハウス対策に係る建築基準法の改正」
- 厚生労働省 室内空気質に関する資料
- 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 関連資料