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三浦 恭輔

なぜパッシブハウスは「Ua値だけ」で評価しないのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方

2026.08.19

なぜパッシブハウスは「Ua値だけ」で評価しないのか?|MIURAHOME

結論:UA値は「熱の逃げにくさ」を表す指標にすぎず、窓の日射熱取得や内部発熱、暖房方式まで含めた暮らし全体のエネルギー収支を測るパッシブハウスは、UA値だけでは評価しない

「UA値が低ければ低いほど良い家」——多くの方がそう理解しているのではないでしょうか。それ自体は決して間違いではありませんが、パッシブハウスの基準はUA値だけを単純に見ているわけではありません。今回は、その理由をじっくり掘り下げて解説します。

この記事を書いた執筆者について

三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。


UA値が表しているのは「熱の逃げにくさ」だけ

UA値(外皮平均熱貫流率)は、屋根・壁・床・窓などを通じて、どれだけ熱が逃げやすいかを表す数値です。

数値が小さいほど、熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを意味しており、住宅カタログでもよく目にする指標です。

しかし、UA値が表しているのは、あくまで「建物の外皮を通じた熱の出入りのしやすさ」という、限られた一側面にすぎません。

実際の暖房需要やエネルギー消費量は、UA値以外のさまざまな要素にも大きく左右されるということです。

UA値だけでは分からない3つの要素

パッシブハウスが総合評価にこだわる理由は、次の3つの要素がUA値の計算には反映されないためです。

1つ目は、窓の日射熱取得です。冬にどれだけ太陽の熱を室内に取り込めるかという点は、UA値の数値には一切表れません。

2つ目は、内部発熱です。人の体温や家電から発生する熱が室内でどう活かされるかという点も、UA値には一切含まれません。

3つ目は、暖房方式・エネルギー消費量です。同じ断熱性能の住宅であっても、暖房設備の効率によって消費エネルギーは大きく変わります。

UA値だけでは分からない3つの要素

同じUA値でも暖房需要が変わる具体例

たとえば、UA値がまったく同じ2棟の住宅があったとします。

1棟は南面に大きな窓を配置し、冬の日射を積極的に取り込む工夫を凝らした設計です。もう1棟は窓が少なく、日射をあまり活用できない設計だとします。

前者は、晴れた日中に太陽の熱で室内が自然に暖まり、暖房への依存度が下がります。後者は、同じ断熱性能でも、暖房に頼る割合がどうしても高くなります。

UA値という数値だけを見れば、この2棟はまったく同じ「性能」に見えるはずです。しかし、実際に暮らしたときの暖房需要は、明らかに異なってきます。

パッシブハウスは、こうした窓の配置や日射の活用まで含めて評価するからこそ、実際の暮らしに近い性能を示すことができるのです。

内部発熱についても同様のことが言えます。気密性能が高い住宅ほど、人の体温や家電から発生する熱が室内にとどまりやすくなり、暖房の負担がその分軽くなります。逆に気密性能が低い住宅では、こうした熱がすぐに逃げてしまい、いくら断熱材を厚くしても実感しにくいことがあります。

総合評価だからこそ見えてくる設計の工夫

UA値だけを追い求める設計では、「断熱材を厚くする」「窓を小さくする」といった単純な対策にどうしても偏りがちです。

しかし、窓を小さくしすぎると、冬の日射熱取得も同時に減ってしまい、結果的に暖房需要がかえって増えてしまうこともあります。

パッシブハウスの考え方では、窓の大きさ・方角・断熱性能のバランスを、暖房需要という一つの総合指標でまとめて判断します。

単純に「数値を下げる」のではなく、「暮らし全体のエネルギー収支を最適化する」という視点が、パッシブハウスの本質だと言えます。

暖房方式の選び方も、同じUA値の住宅であっても最終的な消費エネルギー量に影響します。効率の高いエアコンや熱交換換気システムを組み合わせることで、同じ室温を保つための消費エネルギーを大きく抑えることができます。

MIURAHOMEの考え方

MIURAHOMEでは、UA値0.26以下(推奨)という高い断熱性能を標準としながら、窓の配置や日射計画まで含めた総合的な設計をとても大切にしています。

南面には日射を積極的に取り込む窓を、東西面には基本的に窓を設けないなど、日射熱取得をしっかり意識したプランをご提案しています。

数値だけを追い求めるのではなく、実際の暮らしの中でどう機能するかまで見据えた設計を、大切にしています。

設計初期の段階から、各部屋の日射シミュレーションを行い、冬にどれだけ太陽の熱を活かせるか、夏にどれだけ日射を遮れるかを、具体的な数値で確認しながらプランを進めています。

こうした一つひとつの積み重ねが、UA値という数値だけでは語れない、実際の暮らしやすさにつながっていくと考えています。

MIURAHOME標準仕様

まとめ

UA値は「熱の逃げにくさ」を表す重要な指標ですが、それだけでは暮らし全体のエネルギー収支まで測ることはできません。

窓の日射熱取得、内部発熱、暖房方式まで含めて評価するパッシブハウスの考え方は、より実際の暮らしに近い性能をきちんと示しています。

住宅選びの際は、UA値という単一の数値だけでなく、窓の配置や日射計画についてもあわせて確認してみることをおすすめします。

数値の裏側にある設計の工夫まで理解することが、後悔しない住まい選びにつながります。

住宅会社に「UA値はいくつですか」と聞くだけでなく、「その窓配置で冬の日射はどのくらい取り込めますか」と質問してみると、その会社の設計力がより具体的に見えてくるはずです。

よくある質問

Q1. UA値が低ければ低いほど良いのでしょうか?

一般的には低いほど断熱性能は高いといえますが、窓の配置とのバランスも同じくらい重要です。数値だけでなく総合的な設計を確認することをおすすめします。

Q2. 日射熱取得はどうやって計算されますか?

窓の方角、サイズ、ガラスの日射熱取得率などをもとに、専用のソフトウェアで計算されます。地域の気象データも加味される、専門的な知識が必要な分野です。

Q3. 内部発熱とは具体的に何ですか?

人の体温、照明、家電製品などから発生する熱のことです。気密性能が高い住宅ほど、この熱を室内にとどめて有効に活用しやすくなります。

Q4. UA値以外にどんな指標を確認すべきですか?

C値(気密性能)、暖房需要(kWh/㎡)、換気システムの熱交換率なども、あわせて確認することをおすすめします。これらを総合的に見ることで、実際の暮らしやすさがより具体的に見えてきます。

Q5. 東西面に窓を設けないのはなぜですか?

東西面は太陽高度が低く、夏場に強い日射が入りやすいためです。庇での遮蔽が難しく、冷房負荷が増える傾向があります。窓を設ける場合は、外付けブラインドなど別の遮熱対策が必要になります。

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参考文献

  • Passive House Institute 関連資料
  • 国土交通省「住宅の省エネルギー基準に関する資料」
  • 一般社団法人 日本サステナブル建築協会 関連資料
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