
住宅性能は「体感」では分からない。なぜ数値が必要なのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.08

目次
結論:「暖かいと感じた」だけでは、性能の裏付けにならない
人の体感は、温度だけでなく湿度・気流・輻射熱など複数の要因に影響されるため、「暖かい」「快適」という感覚だけで住宅性能を正しく判断することはできません。UA値・C値のような数値は、体感に左右されない共通のものさしとして重要な役割を持ちます。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「住宅展示場に行ったら、暖かかった」
「なんとなく快適に感じたから、この会社に決めた」
家づくりでは、
こうした「体感」による判断が、
意外と多く行われています。
しかし、
体感には、
大きな落とし穴があります。
体感温度を左右する4つの要因

同じ室温であっても、
「暖かい」「寒い」と感じ方が変わるのは、
- 気温
- 湿度
- 気流(風の流れ)
- 輻射熱(壁や床の表面温度)
という、複数の要因が関係しているためです。
たとえば、
同じ気温20℃でも、
壁の表面温度が低ければ、
体は冷やされるように感じます。
展示場が「暖かく感じる」理由
住宅展示場は、
実際の住宅性能以外の要因でも、
暖かく感じやすい環境が整っていることがあります。
たとえば、
- 強力な暖房設備が常時稼働している
- 照明の熱がこもりやすい
- 短時間の滞在では、湿度や気流の影響を感じにくい
といった要素です。
つまり、
「展示場で感じた暖かさ」が、
そのまま「その家の性能」を表しているとは限らないのです。
見落とされがちな「輻射熱」の影響
体感を左右する要因の中でも、
見落とされやすいのが、
「輻射熱(ふくしゃねつ)」です。
これは、
壁や床、窓などの表面温度から、
直接伝わってくる熱のことです。
たとえば、
エアコンで室温を22℃に設定していても、
断熱性能が低い窓の表面温度が10℃前後まで下がっていると、
その窓の近くにいるだけで、
体は冷やされるように感じます。
これは、
温度計の数字だけでは、
説明できない現象です。
断熱性能の高い窓や壁は、
表面温度が室温に近づくため、
この「冷やされる感覚」が起きにくくなります。
つまり、
同じ室温設定でも、
断熱性能によって、
体感の快適さは大きく変わるのです。
長崎で体感に頼るのが危険な理由
長崎県は、
高温多湿な気候です。
湿度が高いと、
同じ気温でも体感は大きく変わります。
たとえば夏場、
見学のタイミングや天候によって、
同じ住宅でも「涼しい」「蒸し暑い」と、
感じ方が変わってしまうことがあります。
体感だけに頼ると、
判断がぶれやすくなるのは、
こうした理由からです。
数値で比較することの意味
UA値やC値といった数値は、
気候や体調、
その日の天候に左右されません。
どの会社の、どの建物であっても、
「同じ基準」で比較できることが、
数値の最大の価値です。
もちろん、
数値だけがすべてではありません。
しかし、
「体感」という不確かなものだけで判断するよりも、
はるかに信頼できる判断材料になります。
住宅会社に確認したい質問
住宅会社を検討する際は、
「暖かいですか」ではなく、
- 「この家のUA値は、いくつですか」
- 「C値は実測していますか、その数値は」
- 「冷暖房需要は、どのくらいですか」
と、具体的な数値を聞いてみることをおすすめします。
明確に答えられる会社は、
性能への裏付けを持っている可能性が高いといえます。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能について「UA値0.35以下」を最低ライン、「UA値0.26以下(G3・パッシブハウス相当)」を推奨基準としています。気密は「C値0.19以下(cm²/㎡)」を全棟で実測し、体感ではなく数値で性能をお伝えすることを大切にしています。
数値はあくまで手段であり、目的は「今」だけでなく「100年後」も、家族が健康に暮らし続けられる住まいです。

まとめ
住宅の性能は、
「体感」だけで正確に判断することはできません。
気温・湿度・気流・輻射熱という、
複数の要因が体感に影響するためです。
特に高温多湿な長崎では、
体感による判断がぶれやすくなります。
住宅会社を比較する際は、
「暖かかった」という感想だけでなく、
UA値・C値・冷暖房需要といった、
具体的な数値で比較することをおすすめします。
よくある質問
なぜ住宅展示場は暖かく感じるのですか?
強力な暖房設備が常時稼働していたり、照明の熱がこもりやすかったりすることに加え、短時間の滞在では湿度や気流の影響を感じにくいためです。展示場での体感が、そのままその家の性能を表しているとは限りません。
体感温度はどんな要因で変わりますか?
気温だけでなく、湿度・気流(風の流れ)・輻射熱(壁や床の表面温度)という4つの要因が影響します。同じ気温でも、これらの条件によって「暖かい」「寒い」の感じ方は変わります。
住宅会社にはどんな質問をすればいいですか?
「暖かいですか」ではなく、「UA値はいくつですか」「C値は実測していますか」「冷暖房需要はどのくらいですか」と、具体的な数値を聞くことをおすすめします。明確に答えられる会社は、性能への裏付けを持っている可能性が高いです。
数値さえ良ければ、体感は気にしなくていいですか?
数値だけがすべてではありません。ただし、体感という不確かなものだけで判断するよりも、UA値・C値・冷暖房需要といった数値ではるかに信頼できる比較ができます。数値と実際の見学の両方を組み合わせて判断することが大切です。
輻射熱とは何ですか?
壁や床、窓などの表面温度から直接伝わってくる熱のことです。室温が同じでも、断熱性能が低い窓の表面温度が下がっていると、その近くにいるだけで体は冷やされるように感じます。断熱性能が高いほど表面温度が室温に近づき、この感覚が起きにくくなります。
見学会では何を確認すればいいですか?
「暖かい・涼しい」という感覚だけでなく、窓際に立って冷気を感じないか、部屋ごとの温度差はないか、換気の音や空気のよどみがないかを確認するとよいでしょう。あわせてUA値・C値・気密測定結果など、数値の裏付けを担当者に確認することをおすすめします。可能であれば、季節や時間帯を変えて複数回見学すると、より実態に近い体感をつかむことができます。
断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、実際の数値を確認いただける完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
「この家のUA値やC値は?」など、お気軽にご質問ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 体感温度に影響する要因(気温・湿度・気流・輻射)に関する一般的な建築環境工学の知見
- 国土交通省 建築物省エネ法における外皮性能(UA値)・気密性能(C値)に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準