
高性能住宅は本当に電気代が安いのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.05

目次
結論:条件次第で正しいが、「高性能=自動的に安い」は誤解
高性能住宅は、UA値が低いほど冷暖房負荷が減るという物理的根拠があり、正しく設計されていれば電気代を抑えられる可能性が高いです。ただし「高性能住宅にしさえすれば自動的に電気代が安くなる」というのは誤解で、使い方・設備・太陽光の有無などの条件によって結果は変わります。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「高性能住宅は電気代が安い」
という言葉を、
住宅会社の説明でよく耳にします。
ですが、
「本当にそうなのか?」
と疑問に思う方も多いはずです。
今回は、
この言葉を鵜呑みにせず、
仕組みと注意点を、
丁寧に解説します。
なぜ「高性能=電気代が安い」と言われるのか
断熱性能(UA値)が低いほど、
壁や窓から逃げる熱が少なくなります。
熱が逃げにくいということは、
冷暖房が「室温を保つために働く量」が、
少なくて済むということです。
これは、
物理的に裏付けのある話です。
では、本当に電気代は安くなるのか
結論としては、
「条件が揃えば、安くなる」
というのが正確な答えです。
ただし、
「高性能住宅にしさえすれば、
自動的に安くなる」
というのは、
単純化しすぎです。
電気代が「思ったより安くならない」ケース

以下のような場合、
期待したほど電気代が下がらないことがあります。
- 家族の人数が多く、家電の使用量が多い
- 設定温度を極端に低く(高く)している
- 日射取得・遮蔽の設計が不十分
- 気密性能が伴っておらず、換気による熱損失が大きい
つまり、
断熱性能だけを見て判断するのは、
早計だということです。
初期費用は何年で回収できるのか
高性能住宅は、
一般的に初期費用が上がります。
回収年数は、
- 建物の性能差
- 電気料金の今後の推移
- 太陽光発電の有無
- 家族構成・使い方
によって大きく変わるため、
「何年で必ず元が取れる」
と一律に断定することはできません。
個別の条件で試算することが重要です。
長崎における電気料金の実情
長崎県は、
九州電力の管内にあります。
近年、
燃料費の高騰などを背景に、
電気料金は上昇傾向にあります。
国による激変緩和措置(補助金)もありますが、
恒久的なものではありません。
だからこそ、
「そもそも使うエネルギー量が少ない家」
であることの価値が、
今後さらに高まっていくと考えられます。
「冷暖房需要」という指標で比べるという発想
電気代を左右する本質的な指標として、
「冷暖房需要(kWh/㎡)」
というものがあります。
これは、
1年間で、
床面積1㎡あたりに必要な、
冷暖房エネルギーの量を表した数値です。
UA値やC値は、
建物の「性能」を表す指標ですが、
冷暖房需要は、
その性能が「結果として、どれだけのエネルギーで済むか」
を表す指標です。
つまり、
電気代により直結しているのは、
冷暖房需要の方だといえます。
住宅会社を比較する際は、
「UA値はいくつですか」
だけでなく、
「この家の冷暖房需要は、いくつですか」
と聞いてみることをおすすめします。
この数値を明確に提示できる会社は、
性能への裏付けを持っている可能性が高いといえます。
太陽光発電と組み合わせた場合の考え方
電気代の話をする上で、
太陽光発電の存在も無視できません。
断熱・気密性能を高めて、
「使うエネルギー量」を減らした上で、
太陽光発電で「自分でエネルギーを作る」ことができれば、
電気代の負担は、さらに小さくできます。
ただし、
太陽光発電・蓄電池には、
設置費用や、
将来的な売電価格の変動など、
長期的なリスクも存在します。
「とりあえず載せておけばいい」
というものではなく、
その家の冷暖房需要の水準を踏まえたうえで、
設置するかどうかを判断することが大切です。
断熱・気密という「土台」があってこそ、
太陽光発電は効果を発揮します。
順番を間違えないことが重要です。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、「高性能=電気代が安い」という単純な打ち出し方はしていません。断熱(UA値0.35以下、推奨0.26以下 W/㎡K)・気密(C値0.19以下 cm²/㎡)・換気(第一種熱交換換気 Zehnder製、熱交換率80%以上)・窓(樹脂枠 日射遮蔽型トリプルガラス)・庇(90cm〜1.2m)まで含めた総合的なバランスで、本当に効果のある省エネを実現することを大切にしています。
中でも最も重視しているのが「冷暖房需要(kWh/㎡)」です。これはお客様の電気代に直結する、最も正直な指標だと考えており、この数値を明示していない住宅会社が多いことにも問題意識を持っています。太陽光発電・蓄電池についても、冷暖房需要の水準を見ながら設置を判断しています。

まとめ
「高性能住宅は電気代が安い」は、
物理的な根拠がある一方で、
条件次第で結果が変わる話でもあります。
住宅会社の言葉をそのまま信じるのではなく、
断熱・気密・換気・日射計画まで含めて、
総合的に確認することをおすすめします。
よくある質問
高性能住宅にすれば、必ず電気代は安くなりますか?
断熱性能が高いほど冷暖房負荷が減るという物理的根拠はありますが、家族構成・使い方・日射計画・気密性能などの条件によって結果は変わるため、「必ず安くなる」とは言い切れません。
電気代が思ったより安くならないのはなぜですか?
家族の人数や家電の使用量が多い場合、設定温度が極端な場合、日射取得・遮蔽の設計が不十分な場合、気密性能が伴っていない場合などに、期待したほど電気代が下がらないことがあります。
高性能住宅の初期費用は何年で回収できますか?
建物の性能差、電気料金の今後の推移、太陽光発電の有無、家族構成・使い方によって大きく変わるため、一律の年数を断定することはできません。個別の条件での試算が必要です。
長崎の電気料金は今後どうなりますか?
長崎県は九州電力管内にあり、燃料費高騰等を背景に電気料金は上昇傾向にあります。国の補助金による緩和措置はありますが、恒久的なものではありません。
太陽光発電は必ず設置すべきですか?
必須ではありませんが、断熱・気密性能を高めて冷暖房需要を下げたうえで太陽光発電を組み合わせると、電気代の負担をさらに抑えられます。設置費用や将来の売電価格変動などのリスクもあるため、その家の冷暖房需要の水準を踏まえて判断することをおすすめします。
断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、実際の性能や暮らしの違いを体感いただける完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
「我が家の場合、どのくらい電気代が変わるのか」など、お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 建築物省エネ法における外皮性能(UA値)に関する資料
- 九州電力 電気料金(燃料費調整単価等)に関する公表資料
- MIURAHOME 社内施工基準