
「寒い家」と高血圧には関係があるのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.07.13

目次
結論:寒い家に住み続けることは、血圧上昇と関連することが調査で示されている
「寒い家は血圧に良くない」という話を、聞いたことがあるかもしれません。これは単なるイメージではなく、国内の大規模調査でも、住宅の室温と血圧の関連が指摘されています。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「寒い家に住んでいると、
血圧が上がりやすい」
という話を、
耳にしたことがある方も、
多いのではないでしょうか。
この記事では、
寒さと血圧の関係について、
仕組みとあわせて解説します。
なぜ寒さで、血圧が上がるのか
私たちの体は、
寒さを感じると、
体温を逃がさないように、
皮膚表面近くの血管を、
収縮させます。
血管が収縮すると、
血液が流れる際の抵抗が増え、
血圧が上昇します。
これは、
寒さに対する、
体の自然な防御反応です。
室内でも、
この反応は同じように起こります。
寒さが血圧に影響する、身近な場面

日常生活の中で、
特に血圧が変動しやすいのが、
次のような場面です。
- 起床時:布団の中の暖かさから、冷えた室内への移動(モーニングサージと呼ばれる血圧上昇と重なりやすい)
- 入浴前後:暖かい浴室・湯船と、冷えた脱衣所との温度差
- 夜間のトイレ:暖かい布団から、冷えた廊下・トイレへの移動
いずれも、
「暖かい場所」から「寒い場所」への、
急激な移動が共通しています。
国内の調査が示すデータ
国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進事業」では、
全国の住宅を対象に、
室温と居住者の血圧の関係を、
大規模に調査しています。
この調査では、
居間の室温が低い住宅ほど、
起床時の血圧が高くなる傾向が、
報告されています。
住宅の断熱性能を高めて、
室温を改善したグループでは、
血圧の低下も確認されており、
住宅性能と血圧には、
一定の関連があると考えられています。
血圧の変動を「見える化」する家庭血圧測定
住環境と血圧の関係は、
日常生活の中では、
なかなか実感しにくいものです。
日本高血圧学会では、
朝(起床後1時間以内、排尿後)と、
夜(就寝前)の、
1日2回の家庭血圧測定を推奨しています。
冬場の朝の測定値が、
他の季節と比べて高い場合、
それは住環境の寒さが、
影響しているサインかもしれません。
数値として記録しておくことで、
住まいの改善効果も、
客観的に確認しやすくなります。
高齢者だけの問題ではない
「血圧の話」というと、
高齢者に関係することだと、
思われがちです。
しかし、
寒さによる血管の収縮は、
年齢に関わらず、
誰にでも起こる生理的な反応です。
若い世代であれば、
すぐに深刻な影響が出ることは、
少ないかもしれません。
しかし、
寒い家での暮らしが、
何十年も積み重なっていくことを考えると、
家族全員に関わるテーマだといえます。
断熱・気密性能が、血圧管理に役立つ理由
血圧への影響を抑えるためには、
「家の中の温度差」を、
小さくすることが重要です。
断熱・気密性能が高い住宅では、
家全体を効率よく暖められるため、
リビングと脱衣所・トイレ・寝室の、
温度差を小さく保ちやすくなります。
「暖かい場所」と「寒い場所」を、
行き来する機会そのものを減らすことが、
血圧の急激な変動を防ぐ、
ひとつの対策になります。
持続的な血圧上昇が積み重なると、何が心配なのか
一時的な血圧の変動そのものよりも、
冬場の高い血圧が、
何年も続くことの方が、
医学的には注意が必要とされています。
高血圧の状態が長期間続くと、
血管の壁に負担がかかり続け、
動脈硬化のリスクが、
高まるといわれています。
これは、
入浴中の急激な血圧変化による、
ヒートショックとは、
別の観点のリスクです。
「その場で倒れる」ような、
急性のリスクだけでなく、
「何十年もかけて、
血管に負担をかけ続ける」という、
慢性的な視点も、
住まいを考えるうえでは、
大切だと考えています。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を標準とし、家全体を無理なく暖められる住まいを目指しています。
健康を守るための住宅性能として、家の中の温度差を小さくすることを、設計の重要なテーマのひとつと考えています。

まとめ
寒い家に住み続けることは、
血圧の上昇と関連することが、
国内の調査でも示されています。
起床時・入浴前後・夜間のトイレなど、
「暖かい場所」から「寒い場所」への移動が、
特に注意すべき場面です。
断熱・気密性能を高めて、
家の中の温度差を小さくすることは、
健康を守るための、
具体的な備えになります。
家庭血圧を記録しながら、
住環境との関係を、
意識してみてください。
よくある質問
室温を何度以上に保てば、血圧への影響を防げますか?
明確な基準はありませんが、世界保健機関(WHO)は冬季の室温を18℃以上に保つことを推奨しています。これは血圧を含む健康リスク全般を考慮した目安であり、ひとつの参考になります。
すでに寒い家に住んでいる場合、今すぐできる対策はありますか?
脱衣所やトイレに小型のヒーターを設置する、入浴前に脱衣所を暖めておくといった対策が有効です。ただし根本的な対策としては、断熱リフォームや窓の内窓設置など、住宅性能そのものを見直すことをおすすめします。応急的な対策と根本的な対策を、あわせて考えるとよいでしょう。
血圧が高めの家族がいる場合、特に注意すべきことはありますか?
高血圧の診断を受けている方や、心血管疾患のリスクがある方は、寒暖差による血圧変動の影響を受けやすいとされています。住環境の改善とあわせて、かかりつけ医に相談しながら血圧を管理することをおすすめします。
エアコンの設定温度を上げれば、それで十分ですか?
リビングの温度を上げるだけでは、脱衣所や廊下などの温度差は解消されません。断熱・気密性能が低い住宅では、部屋ごとの温度差が大きくなりやすいため、家全体を暖める視点での対策が重要です。
家庭血圧は、どのタイミングで測るのが良いですか?
日本高血圧学会は、起床後1時間以内・排尿後・朝食や薬の服用前と、就寝前の1日2回、同じ条件で測定することを推奨しています。冬季と夏季で測定値を比較してみると、住環境の影響に気づきやすくなります。
健康に配慮した住宅性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、家全体の温度差を抑える設計について実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
関連コラム
- WHOが冬の室温18℃以上を推奨する理由|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
- 家の中の温度差は何℃までなら快適なのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
- リビングは暖かいのに、廊下や階段が寒いのはなぜ?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進事業に関する調査資料
- 世界保健機関(WHO)「WHO Housing and health guidelines」(2018年)
- MIURAHOME 社内施工基準