
家の中の温度差は何℃までなら快適なのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.07.03

目次
結論:温度差は3℃以内が目安。5℃を超えると、体への負担が徐々に高まる
家の中の温度差は、小さければ小さいほど快適で、体への負担も少なくなります。一般的な目安として、3℃以内であれば快適さを感じやすく、5℃を超えたあたりから不快感や血圧変動などのリスクが高まり始めるとされています。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「リビングは暖かいのに、
廊下に出ると寒い」
という経験は、
多くの方にあるはずです。
では、
その温度差は、
何℃までなら問題ないのでしょうか。
この記事では、
温度差の目安を、
具体的な数字で解説します。
感覚だけに頼らず、
数値で判断する視点を持ちましょう。
「温度差」が、体に与える影響
私たちの体は、
温度の変化に応じて、
血管を収縮させたり、
拡張させたりして、
体温を調整しています。
急激な温度変化にさらされると、
血圧が大きく変動し、
心臓や血管に、
負担がかかります。
これが、
ヒートショックをはじめとする、
健康リスクの背景にあるメカニズムです。
快適とされる、温度差の目安

明確な国際基準があるわけではありませんが、
住宅の温熱環境に関する研究や資料では、
おおむね次のような目安が、
共通して示されています。
- 3℃以内:快適で、温度差をほとんど感じにくいレベル
- 5℃前後:徐々に不快感が生じ、血圧変動などのリスクが高まり始める目安
- 7℃以上:ヒートショックなど、健康リスクが顕著に高まるとされるレベル
これらの数値は、
個人差や体調によっても変わるため、
あくまで目安として捉えてください。
7℃の温度差は、真冬の屋外との差に匹敵する
7℃という数字が、
どれくらい大きいのか、
イメージしてみます。
長崎の冬の最低気温は、
おおむね5℃前後になることが多く、
リビングを暖房で22℃程度に保っていたとすると、
その差はおよそ17℃です。
家の中の7℃の温度差というのは、
この屋外との温度差の、
4割ほどに相当する規模です。
「室内なのに、
半分近く外に近い環境で過ごしている」
と考えると、
その負担の大きさが、
実感しやすいのではないでしょうか。
数字にしてみると、
見過ごせない差だと分かります。
「部屋間」の温度差と、「上下」の温度差
温度差には、
大きく2つの種類があります。
ひとつは、
リビングと廊下、
脱衣所といった、
「部屋と部屋」の温度差です。
もうひとつは、
同じ部屋の中でも、
床付近と天井付近で生じる、
「上下」の温度差です。
暖かい空気は上に、
冷たい空気は下にたまりやすいため、
断熱性能が低い住宅では、
足元だけが冷える、
という状態が起こりやすくなります。
温度差を小さくするために、必要な性能
温度差を小さくするには、
家全体を、
均一に暖める(冷やす)ことが必要です。
そのためには、
断熱性能(UA値)・気密性能(C値)を高め、
熱が逃げにくい住宅にすることが前提になります。
そのうえで、
全館空調のような、
家全体を対象とした空調計画を取り入れることで、
部屋間・上下の温度差を、
小さく抑えやすくなります。
長崎でも、温度差対策は必要か
長崎は、
冬の気候が比較的温暖ですが、
それでも、
断熱性能の低い住宅では、
リビングと脱衣所・トイレの間で、
大きな温度差が生じることがあります。
晴れた日の放射冷却により、
朝方に冷え込むこともあるため、
「温暖な地域だから対策は不要」
とは言い切れません。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を実現することで、家全体を効率よく暖める・冷やすことができる住まいを目指しています。
部屋間・上下の温度差を小さく抑えることは、快適性だけでなく、ヒートショックなどの健康リスクを減らすことにも直結すると考えています。ご家族の年齢構成やライフスタイルに応じて、優先すべき対策もあわせてご提案しています。

まとめ
家の中の温度差は、
3℃以内であれば快適な目安、
5℃を超えると、
徐々にリスクが高まり始めるとされています。
部屋間だけでなく、
上下の温度差にも目を向けることが大切です。
温暖な長崎であっても、
温度差対策は、
決して不要ではありません。
数字で目安を知っておくことが、
家づくりの判断材料になります。
よくある質問
自宅の温度差は、どうやって確認すればいいですか?
市販の温湿度計を、リビングや脱衣所、廊下など複数の場所に置いて比較する方法が手軽です。時間帯や季節によっても変わるため、冬の朝・夜など、特に冷え込みやすいタイミングで確認することをおすすめします。数日間記録を取ると、傾向がより分かりやすくなります。
上下の温度差は、どうすれば小さくできますか?
断熱性能を高めることに加えて、サーキュレーターなどで室内の空気を循環させることも有効です。ただし根本的な対策としては、断熱・気密性能の向上や、換気計画の見直しが重要になります。
既存住宅でも、温度差を改善することはできますか?
窓の断熱改修や、床下・天井の断熱補強などで、一定の改善が期待できます。ただし建物全体の性能を新築時と同等まで高めるのは難しい場合もあるため、優先順位をつけて対策することをおすすめします。まずは温度差が大きい場所を特定し、そこから優先的に手を入れるのが効果的です。
温度差と湿度差は、どちらが重要ですか?
どちらも重要ですが、健康リスクの観点では、急激な温度変化の影響がより直接的とされています。ただし高湿度な環境は体感温度にも影響するため、温度と湿度をあわせて管理することが理想的です。換気計画を見直すことで、両方を同時に改善できる場合もあります。
高齢の家族がいる場合、特に注意すべき場所はありますか?
脱衣所・浴室・トイレは、暖房設備が設置されにくく、リビングとの温度差が大きくなりやすい場所です。高齢者や持病のある方がいるご家庭では、これらの場所への小型ヒーターの設置や、住宅全体の断熱改修を優先的に検討することをおすすめします。夜間の移動が多い寝室からトイレまでの動線も、あわせて見直すとよいでしょう。
家全体の温度差について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、家全体の温度差を抑える設計について実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進事業に関する調査資料
- 世界保健機関(WHO)「WHO Housing and health guidelines」(2018年)
- MIURAHOME 社内施工基準