
壁の中で起こる「内部結露」が怖い理由|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.07.16

目次
結論:内部結露は壁の中で進行するため気づきにくく、放置すると構造材を腐らせる恐れがある
窓ガラスに水滴がつく「結露」は誰もが知っていますが、壁の内部でも同じ現象が起こることをご存じでしょうか。目に見えないからこそ怖い、内部結露のリスクについて解説します。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
冬の朝になると、
窓ガラスに水滴がつく、
「結露」を目にすることがあります。
これは目に見える結露ですが、
実は、これとよく似た現象が、
壁の内部でも起こることがあります。
これが「内部結露」と呼ばれる、
住宅の隠れた重大なリスクです。
窓の結露は、
拭き取ればその場で対処できますが、
壁の中の結露は、
そう簡単にはいかないのです。
表面結露と内部結露、何が違うのか

表面結露は、
窓や壁の表面に水滴として現れるため、
目で見て気づくことができます。
一方、
内部結露は、
壁の中、つまり断熱材と外壁材の間などで発生し、
外から見ることができません。
気づいたときには、
壁の中でカビや腐朽が、
かなり進行していた、
というケースも十分に起こり得ます。
なぜ、壁の中で結露が起きるのか
冬場、室内の暖かく湿った空気は、
壁の中の、
わずかな隙間や、
建材のわずかな透湿性を通じて、
壁の内部に侵入することがあります。
壁の中を進んだ湿った空気は、
外気に近い、
冷たい部分に到達すると、
そこで水蒸気が水滴に変わります。
これが、
壁の内部結露が起こる基本的なメカニズムです。
内部結露が招く、構造材へのダメージ
特に木造住宅の場合、
内部結露によって、
柱や梁などの構造材が、
湿った状態にさらされ続けると、
腐朽菌が繁殖しやすくなります。
構造材の腐食は、
住宅の耐震性能にも関わる、
見過ごせない深刻な問題です。
シロアリは湿った木材を好むため、
内部結露が続く環境は、
シロアリ被害のリスクも、
同時に高めてしまいます。
内部結露を防ぐカギは「防湿層」と「通気層」
内部結露を防ぐためには、
室内側の湿った空気そのものを、
壁の中に侵入させない、
「防湿層(防湿気密シート)」の施工と、
壁の中に入り込んだわずかな湿気を、
外部に逃がすための、
「通気層」の設計が重要です。
この2つが正しく機能して初めて、
壁の中の湿気バランスが健全に保たれます。
「高断熱住宅は内部結露しやすい」は誤解
「断熱材を厚くすると、
内部結露しやすいのでは」
という声を聞くことがありますが、
正確には、
断熱性能そのものが問題なのではなく、
防湿層・通気層の設計や施工精度が、
不十分な場合にリスクが高まる、
というのがより正確な理解です。
正しく設計・施工された高断熱住宅であれば、
内部結露のリスクを、
十分に抑えることができます。
むしろ、
断熱・気密の設計思想がしっかりしている会社ほど、
防湿・通気の設計にも、
同じレベルの丁寧な配慮をしている傾向があります。
リフォーム・断熱改修のときにも注意したいポイント
既存住宅の断熱リフォームでは、
内側から断熱材を追加する、
「内断熱」の工事が、
よく行われます。
このとき、
防湿層の施工が不十分なまま、
断熱材だけを追加してしまうと、
かえって内部結露のリスクを、
高めてしまうことがあります。
「断熱リフォームをしたのに、
かえって家が傷んでしまった」
という事例も、実際に報告されています。
断熱リフォームを検討する際は、
断熱材の性能や厚みだけでなく、
防湿層の施工方法まで、
必ず確認することを強くおすすめします。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を標準とし、防湿層・通気層を適切に設計・施工することで、内部結露のリスクを抑えた住まいづくりを行っています。
気密測定を実施し、施工精度を数値で確認することも大切にしています。見えない部分こそ丁寧に、を合言葉に施工品質にこだわっています。

まとめ
内部結露は、
壁の中で見えないまま進行するため、
気づいたときには、
構造材が深刻なダメージを受けている、
恐れがあります。
防湿層・通気層の設計と、
それを実現する施工精度こそが、
内部結露を防ぐカギになります。
「高断熱住宅は内部結露しやすい」
という漠然とした不安ではなく、
正しい知識を持って、
信頼できる住宅会社を見極めることが大切です。
住宅会社を選ぶ際は、
見えない部分の設計思想にも、
目を向けることをおすすめします。
完成後の見た目では分からない部分こそ、
住宅会社の技術力と誠実さが、
如実に表れるポイントです。
よくある質問
内部結露は、どうすれば気づけますか?
壁紙のシミや変色、独特のカビ臭さ、床のきしみなどが、内部結露のサインになることがあります。ただし、これらの症状が出たときには、すでに内部で進行しているケースも多いため、早めに専門家に相談することをおすすめします。
築年数が古い住宅は、内部結露のリスクが高いですか?
防湿層・通気層の考え方が普及する以前に建てられた住宅では、リスクが相対的に高い傾向があります。リフォームの際に、断熱・気密の見直しとあわせて専門家に確認することをおすすめします。
気密性能を高めれば、内部結露は防げますか?
気密性能を高めることは、室内の湿った空気が壁内に侵入するのを防ぐうえで重要です。ただし、気密性能だけでなく、防湿層・通気層の設計とあわせて総合的に考える必要があります。
内部結露が起きているかどうか、施工中に確認する方法はありますか?
気密測定によってC値を数値で確認することで、施工精度をある程度把握できます。あわせて、防湿シートの施工状況を工事中の写真で記録してもらうことも有効です。
木造ではなく鉄骨造やRC造なら、内部結露の心配はありませんか?
木造住宅ほど構造材への直接的な影響は少ないものの、鉄骨造でも鉄部の錆びやカビの発生などのリスクはあります。構造にかかわらず、防湿・通気の設計は重要です。
内部結露が原因で、シロアリ被害が起きることはありますか?
湿った木材はシロアリが好む環境のため、内部結露が続くとシロアリ被害のリスクが高まる可能性があります。定期的な点検とあわせて、防湿・通気の設計をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
見えない部分まで安心できる住宅性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、防湿層・通気層の設計まで含めた住まいづくりについて、実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- MIURAHOME 社内施工基準