
パッシブハウスとは?普通の高性能住宅との違い|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.12

目次
結論:パッシブハウスは「自称」ではなく「第三者認証」が必要な国際基準
パッシブハウスは、ドイツのパッシブハウス研究所(PHI)が定める国際的な省エネ建築基準で、年間暖房需要15kWh/㎡以下など厳格な数値基準を満たし、第三者機関の認証を受けて初めて名乗ることができます。「高性能住宅」は住宅会社が自由に使える言葉ですが、パッシブハウスは客観的な基準と認証が伴う点が大きな違いです。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「高性能住宅」という言葉と、
「パッシブハウス」という言葉は、
同じような意味で使われることがあります。
しかし、
この2つには、
はっきりとした違いがあります。
今回は、
パッシブハウスの正しい定義について、
解説します。
パッシブハウスとは何か
パッシブハウスは、
1991年にドイツの、
パッシブハウス研究所(PHI)が確立した、
省エネ建築基準です。
冷暖房にほとんど頼らずに、
快適な室内環境を保つことを目指した、
世界的に厳格な基準として知られています。
パッシブハウスの主な認証基準

パッシブハウスとして認証されるには、
主に次のような基準を、
すべて満たす必要があります。
- 年間暖房需要:15kWh/㎡以下
- 一次エネルギー消費量:120kWh/㎡以下
- 気密性能:50Pa加圧時の漏気回数(n50)0.6回/h以下
これらは、
日本の省エネ基準と比べても、
非常に厳しい水準です。
「高性能住宅」と「パッシブハウス」の違い
「高性能住宅」という言葉は、
法律上の定義がなく、
住宅会社が自由に使うことができます。
一方、
「パッシブハウス」を名乗るには、
- 専用の計算ソフト(PHPP)による、詳細なエネルギー計算
- 第三者機関による設計審査
- 竣工後の気密測定など、実測データの提出
を経て、
正式な認証を受ける必要があります。
つまり、
「自称」できる言葉と、
「第三者に証明してもらう」言葉、
という違いがあります。
パッシブハウスと断熱等級7は、何が違うのか
パッシブハウスも、
断熱等級7も、
似たようなUA値の水準を、
目安として語られることがあります。
しかし、
両者の評価方法は異なります。
断熱等級は、
主に「建物の外皮性能(UA値)」を評価する制度です。
一方パッシブハウスは、
外皮性能だけでなく、
窓・日射・気密・換気・エネルギー消費量までを含めた、
「建物全体の年間エネルギー収支」を、
専用ソフトで詳細に計算し、評価します。
つまり、
パッシブハウスの方が、
より「暮らし全体」に近い視点で、
性能を評価している、といえます。
なぜパッシブハウス認証は難しいのか
パッシブハウスの認証プロセスでは、
設計段階から、
窓の配置、日射計画、断熱・気密仕様まで、
すべてを数値でシミュレーションします。
竣工後も、
気密測定などの実測データを提出し、
基準を満たしているかを、
客観的に証明する必要があります。
この手間とコストの大きさが、
「高性能住宅」を名乗ることに比べて、
パッシブハウス認証を難しくしている理由です。
パッシブハウスを選ぶ際の注意点
パッシブハウスは優れた基準ですが、
注意点もあります。
- 認証取得には、追加の費用・期間がかかる場合がある
- 厳格な基準ゆえに、間取りや窓の配置に一定の制約が生まれることがある
- 「認証を取ること」自体が目的化してしまうと、暮らしやすさとのバランスを欠くことがある
認証の有無だけでなく、
その家で実際にどう暮らすのかを、
あわせて考えることが大切です。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEは、パッシブハウスの考え方を基準に、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を掲げています。パッシブハウスを目指す場合には、太陽光発電・蓄電池の設置も含めて、総合的な設計をご提案しています。
ただし私たちは、認証取得そのものを目的化するのではなく、軒の深さ・窓・気密・換気・消費エネルギー量までを含めたバランスと、「100年後」も家族が健康に暮らし続けられることを本質だと考えています。

まとめ
パッシブハウスは、
ドイツ発祥の国際的な省エネ基準であり、
年間暖房需要15kWh/㎡以下など、
厳格な数値基準と、
第三者機関による認証を伴う点が、
「高性能住宅」という一般的な言葉との、
大きな違いです。
住宅会社を選ぶ際は、
「パッシブハウス」という言葉が、
実際の認証を意味しているのか、
それとも考え方として参考にしているだけなのか、
確認することをおすすめします。数値と第三者認証の有無、両方を判断材料にすることが大切です。
よくある質問
パッシブハウスと高性能住宅は同じ意味ですか?
同じではありません。「高性能住宅」は法律上の定義がなく住宅会社が自由に使える言葉ですが、「パッシブハウス」は年間暖房需要15kWh/㎡以下などの厳格な基準を満たし、第三者機関の認証を受けて初めて名乗ることができます。
パッシブハウスの認証基準にはどんなものがありますか?
主な基準として、年間暖房需要15kWh/㎡以下、一次エネルギー消費量120kWh/㎡以下、気密性能(50Pa加圧時の漏気回数n50)0.6回/h以下があります。これらすべてを満たす必要があります。
「パッシブハウス基準」と「パッシブハウス認証」は違いますか?
「パッシブハウス基準を参考にした設計」と、「正式なパッシブハウス認証を取得した住宅」は異なります。認証には専用ソフトによる計算、第三者機関の審査、竣工後の実測データ提出などのプロセスが必要です。
パッシブハウスにすると、間取りの自由度は下がりますか?
厳格な基準を満たすため、窓の配置や大きさなど一定の制約が生まれることがあります。ただし、経験のある設計者であれば、基準を満たしながらもデザイン性や暮らしやすさを両立させることは可能です。
パッシブハウスと断熱等級7は何が違いますか?
断熱等級は主に建物の外皮性能(UA値)を評価する制度です。パッシブハウスは外皮性能だけでなく、窓・日射・気密・換気・エネルギー消費量までを含めた建物全体の年間エネルギー収支を、専用ソフト(PHPP)で詳細に計算して評価します。
断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、パッシブハウスの考え方を実際にご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。
- ドイツ パッシブハウス研究所(Passivhaus Institut)の認証基準に関する公表資料
- 一般社団法人 パッシブハウス・ジャパンの公表資料
- MIURAHOME 社内施工基準