
「ZEHだから高性能住宅」と思っていませんか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.11

目次
結論:ZEHは「断熱等級5相当+創エネ」の制度。断熱性能自体は控えめな場合も
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、断熱等級5相当の基準に、太陽光発電などの「創エネ」を組み合わせて、年間のエネルギー収支を実質ゼロに近づける制度です。「ZEH=最高レベルの高性能住宅」というわけではなく、断熱等級6・7と比べると、断熱性能自体は控えめな場合があります。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「ZEH対応住宅です」
という言葉を聞くと、
「最新の、最高レベルの性能なんだろう」
と感じるかもしれません。
しかし、
ZEHの制度をよく理解すると、
少し違った側面が見えてきます。
ZEHとは何か
ZEH(ゼッチ)は、
「Net Zero Energy House」の略で、
- 断熱性能(省エネ)
- 高効率設備(省エネ)
- 太陽光発電など(創エネ)
を組み合わせて、
年間の一次エネルギー消費量を、
正味(ネット)でゼロ以下にすることを目指す制度です。
ZEHの断熱基準は「等級5相当」

ここが、今回一番伝えたいポイントです。
ZEHの断熱基準は、
「断熱等級5相当」
とされています。
これは、
2022年に新設された等級6・7と比べると、
断熱性能そのものは、
控えめな水準ということになります。
つまり、
「ZEH=断熱性能が最高レベル」
というのは、正確な理解ではありません。あくまで「省エネ性能+創エネ」を評価する制度である、という前提を押さえておくことが大切です。
ZEHには複数のグレードがある
実はZEHには、
「ZEH」だけでなく、
- ZEH Oriented
- ZEH
- ZEH+
- 次世代ZEH+
など、いくつかのグレードが存在します。
グレードによって、
求められる省エネ性能や、
創エネ設備の条件が異なります。
「ZEH」という一言でまとめて語られることが多いですが、
実際にはグレードごとに、
内容にかなりの幅があることも、
知っておいていただきたいポイントです。
なぜ「ZEH=高性能」と誤解されやすいのか
ZEHは、
国の補助金制度と結びついていることが多く、
「ZEH対応」という言葉が、
住宅会社の広告で頻繁に使われます。
また、
太陽光発電を搭載していることから、
「先進的」「省エネ」というイメージも、
持たれやすくなっています。
これらが組み合わさり、
「ZEH=最高水準の性能」
というイメージが広がりやすくなっていると考えられます。
ZEHと断熱等級7、何が違うのか
ZEHは、
断熱性能+創エネ設備の「組み合わせ」で、
エネルギー収支を評価する制度です。
一方、
断熱等級6・7は、
建物そのものの「熱の逃げにくさ」を、
直接評価する指標です。
太陽光発電で収支をゼロに近づけても、
建物自体の断熱性能が低ければ、
冬の底冷えや夏の蒸し暑さは、
改善されない可能性があります。
長崎でZEHを検討する際の注意点
長崎県は、
日射条件が比較的良く、
太陽光発電を活かしやすい地域です。日照時間や屋根の方位によって発電量は変わるため、設置を検討する際は事前のシミュレーションも有効です。
ZEHという枠組み自体は、
悪いものではありません。
ただし、
「ZEH対応だから安心」と考えるのではなく、
建物自体の断熱等級(UA値)が、
どの水準にあるのかを、
別途確認することをおすすめします。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能について「UA値0.35以下」を最低ライン、「UA値0.26以下(等級7・G3・パッシブハウス相当)」を推奨基準としています。これはZEH基準(等級5相当)を大きく上回る水準です。
太陽光発電・蓄電池についても、パッシブハウスを目指す場合は設置を推奨していますが、あくまで断熱・気密という「建物本体の性能」を土台にしたうえでの位置づけと考えています。制度上の呼び名に左右されず、実際の数値で判断していただきたいというのが私たちの一貫した考えです。

まとめ
ZEHは、
断熱等級5相当の基準に、
太陽光発電などの創エネを組み合わせた制度であり、
「断熱性能が最高レベル」を意味するものではありません。
「ZEH対応」という言葉だけで判断せず、
建物本体のUA値・C値まで確認することを、
おすすめします。
よくある質問
ZEHの断熱基準はどのくらいですか?
ZEHの断熱基準は「断熱等級5相当」とされています。2022年に新設された等級6・7と比べると、断熱性能そのものは控えめな水準です。
ZEHと断熱等級は何が違いますか?
ZEHは断熱性能・省エネ設備・太陽光発電などの創エネを組み合わせて、年間のエネルギー収支をゼロに近づける制度です。断熱等級は、建物そのものの「熱の逃げにくさ」を直接評価する指標で、評価の対象が異なります。
ZEH対応住宅なら安心して選んでいいですか?
ZEHという枠組み自体は有効ですが、「ZEH対応だから最高レベルの断熱性能」というわけではありません。建物本体のUA値・C値を別途確認することをおすすめします。
太陽光発電を載せれば、断熱性能は低くても大丈夫ですか?
太陽光発電でエネルギー収支をゼロに近づけても、建物自体の断熱性能が低ければ、冬の底冷えや夏の蒸し暑さは改善されない可能性があります。太陽光発電は、断熱・気密という土台があってこそ効果を発揮します。
ZEHにはグレードがあるのですか?
はい。ZEH Oriented、ZEH、ZEH+、次世代ZEH+など複数のグレードがあり、それぞれ求められる省エネ性能や創エネ設備の条件が異なります。「ZEH」という一言でまとめて語られることが多いですが、内容にはかなりの幅があります。
補助金がもらえるならZEHにした方がお得ですか?
補助金は魅力的な制度ですが、それだけを目的にすると、建物本体の断熱性能への投資が後回しになることがあります。長期的な光熱費や快適性まで考えたうえで、断熱等級6・7水準を目指すかどうかを検討することをおすすめします。
ZEH+と断熱等級7は同じ意味ですか?
同じではありません。ZEH+はZEHよりも省エネ性能の基準が厳しいグレードですが、断熱基準自体は等級5相当が前提になっているケースが一般的です。断熱等級7(UA値0.26以下)を確実に満たしているかどうかは、別途数値で確認する必要があります。
断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、ZEH基準を上回る断熱性能を実際にご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
関連コラム
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 資源エネルギー庁・経済産業省 ZEHの定義および断熱等級との対応関係に関する公表資料
- 国土交通省 建築物省エネ法における断熱等性能等級に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準