
長崎にパッシブハウスは必要なのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.27

目次
結論:「長崎だから不要」は早計。必要かどうかより、何を求めるかで考えたい
「長崎は温暖だから、そこまでの性能はいらないのでは」という声を聞くことがあります。しかし年間を通じた快適性・光熱費・資産価値まで含めて考えると、パッシブハウスは一部の人だけの贅沢品ではなく、検討する価値のある選択肢のひとつです。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「長崎にパッシブハウスは必要ですか?」
という質問を、
よくいただきます。
背景には、
「寒冷地ならともかく、
温暖な長崎では、
そこまでの性能は不要では」
という考え方があります。
この記事では、
「不要」派・「必要」派、
それぞれの意見を検証しながら、
考え方を整理します。
結論を急ぐのではなく、
まずは双方の視点を知ることから始めましょう。
「不要」派の意見と、その検証
まず、
「不要」派によく見られる意見を、
検証してみます。
意見1:暖房費がかからないので投資回収が遅い
寒冷地に比べれば、
長崎の暖房費は小さくなりやすいのは事実です。
ただし長崎には、
高温多湿な夏があり、
冷房費や除湿にかかるエネルギーも、
考慮する必要があります。
暖房費だけで判断するのは、
一面的な見方だといえます。
意見2:建築コストが高い
初期費用が高くなるのは事実です。
ただし35年間などの長期で見れば、
光熱費の差が、
初期費用の差を、
縮めていく側面もあります。
意見3:施工できる会社が少ない
これは事実です。
近年は九州でも、
パッシブハウス基準に対応する会社が、
少しずつ増えてきています。会社選びの選択肢は、以前より広がっています。
「必要」派の意見:パッシブハウスが持つ3つの価値

一方「必要」派は、
次のような価値に注目しています。
- 年間を通じた快適性:部屋間・季節間の温度差が少なく、体への負担が小さい
- 光熱費の安定:電気料金が上昇しても、影響を受けにくい
- 将来を見据えた資産価値:省エネ基準の強化が進む中、先行して高性能化しておく価値
これらは、
気候に関わらず、
どの地域でも共通するメリットです。
長崎の気候特性から見た、現実的なメリット
長崎は冬の気候が比較的温暖なため、
同じ設計・性能でも、
年間暖房需要15kWh/㎡・年という、
パッシブハウス基準の数値を、
達成しやすい地域です。
一方で長崎の夏は、
高温多湿で、
梅雨の時期も長くなります。
パッシブハウスは、
「寒冷地のための基準」
と誤解されがちですが、
適切な日射遮蔽と換気計画を組み合わせれば、
高温多湿な気候にも、
十分に対応できる考え方です。
「必要かどうか」より、「何を求めるか」で考える
ここまで見てきたように、
「不要」派の意見にも、
「必要」派の意見にも、
一定の根拠があります。
つまりこの問いに、
万人共通の正解はありません。
大切なのは、
「長崎だから必要・不要」
という地域だけの議論ではなく、
自分たちが、
暮らしにどんな価値を求めるかを、
考えることです。
パッシブハウスを検討する際の、3つのステップ
「必要か不要か」で悩むよりも、
次のようなステップで、
考えてみることをおすすめします。
ステップ1:暮らしの優先順位を書き出す
デザイン・快適性・光熱費・資産価値など、
何を重視したいかを、
家族で話し合ってみます。
ステップ2:予算とのバランスを確認する
パッシブハウス基準を目指す場合の、
概算費用を確認し、
総予算の中でどこまで実現できるか、
検討します。
ステップ3:対応できる住宅会社に相談する
パッシブハウス基準の実績がある会社であれば、
「全部を満たす」か「一部を取り入れる」か、
柔軟な提案を受けられることが多いです。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、パッシブハウス基準を「全員が目指すべきゴール」とは考えていません。断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」を標準としながら、パッシブハウスを目指す場合は、太陽光発電・蓄電池を組み合わせるなど、お客様の目的に応じた提案を行っています。
長崎の気候特性を踏まえたうえで、快適性・光熱費・資産価値のどこに重きを置くか、一緒に考えることを大切にしています。

まとめ
「長崎にパッシブハウスは必要か」
という問いに、
一律の答えはありません。
「不要」派の意見にも一理あり、
「必要」派の意見にも一理あります。
大切なのは、
地域だけで判断するのではなく、
自分たちの暮らしに、
何を求めるかで考えることです。
全か無かではなく、
段階的に検討する道もあります。
よくある質問
パッシブハウスでなくても、快適な家は建てられますか?
建てられます。パッシブハウス基準は、住宅性能のひとつの到達点にすぎません。断熱等級6・7など、パッシブハウスに満たない基準でも、十分に快適な住まいを実現することは可能です。
将来、パッシブハウスを目指すことになったら、後から性能を上げられますか?
断熱材の増し打ちなど、後からの性能向上は可能な場合もありますが、費用や工事範囲は新築時より大きくなる傾向があります。将来的な可能性を感じている場合は、新築時にどこまで性能を確保しておくか、事前に検討しておくことをおすすめします。
長崎でパッシブハウス認定を取得した実例はありますか?
国内でも九州エリアでパッシブハウス認定を取得した事例は増えてきています。地域の気候特性を踏まえた設計次第で、認定取得は十分に可能です。具体的な実例については、個別相談でご紹介しています。
パッシブハウスと、一般的な高断熱住宅は何が違うのですか?
パッシブハウスは、年間暖房需要15kWh/㎡・年以下、暖房負荷10W/㎡以下など、建物全体のエネルギー収支計算に基づいた明確な基準を満たす住宅を指します。UA値などの部分的な性能値だけでなく、建物全体で評価される点が特徴です。
「パッシブハウスもどき」のような、中間的な選択肢はありますか?
あります。パッシブハウス基準のすべてを満たさなくても、断熱等級6・7やHEAT20 G2・G3といった基準を目指しながら、日射計画や気密性能など、パッシブハウスの考え方の一部を取り入れる住宅も選択肢のひとつです。全か無かではなく、段階的に性能を検討することも可能です。
ご自身にとっての最適な性能を、一緒に考えませんか
MIURAHOMEでは、お客様の価値観に合わせた住宅性能をご提案する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- Passive House Institute(パッシブハウス研究所) 認定基準に関する資料
- 気象庁 長崎地方の気候統計に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準