
熱交換換気とは?捨てる熱を再利用する仕組み|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.07.04

目次
結論:熱交換換気は、排気の熱を「熱交換素子」で給気に伝える仕組み
熱交換換気とは、室内から排出する空気の熱を、外から取り込む空気に伝えることで、本来なら捨てられるはずだった熱を再利用する仕組みです。「熱交換素子」と呼ばれる部品の中で、空気を混ぜずに熱だけをやり取りしています。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「熱交換換気」
という言葉は聞いたことがあっても、
具体的にどんな仕組みなのか、
説明できる方は少ないかもしれません。
この記事では、
熱交換換気の仕組みを、
できるだけ分かりやすく解説します。
数値の意味まで理解しておくと、
住宅会社との打ち合わせにも役立ちます。
熱交換換気の基本原理
通常の換気では、
室内の暖かい(あるいは涼しい)空気を、
そのまま外に排出してしまいます。
これは、
室温を保つために使ったエネルギーを、
そのまま捨てているのと同じことです。
熱交換換気では、
排出する空気と、
取り込む空気を、
「熱交換素子」という部品の中で、
すれ違わせます。
このとき、
2つの空気は、
薄い仕切りを挟んで流れるため、
混ざり合うことはありません。
しかし仕切りを通じて、
熱(と場合によっては湿気)だけが、
伝わっていきます。
「顕熱交換」と「全熱交換」の違い

熱交換素子には、
大きく分けて、
2つの方式があります。
- 顕熱交換:温度(熱)のみを交換する方式
- 全熱交換:温度に加えて、湿度(水蒸気)も交換する方式
全熱交換は、
水蒸気を通す特殊な素材(透湿膜)を使うことで、
湿度も一緒にやり取りします。
冬に加湿した室内の湿気を、
外に逃がしすぎないようにしたり、
夏に外の湿った空気を、
そのまま室内に入れすぎないようにしたりする効果が期待できます。
住宅用の熱交換換気では、
季節を問わず効果を発揮しやすい、
全熱交換方式が採用されることが多くなっています。
「熱交換率80%」は、何を意味するのか
カタログなどでよく見る、
「熱交換率80%」
という表示は、
室内と屋外の温度差のうち、
何%を回収できるかを示す数値です。
たとえば室温20℃、
外気温0℃の場合、
温度差は20℃です。
熱交換率80%であれば、
この20℃の差のうち80%、
つまり16℃分を回収し、
給気を16℃まで暖めてから、
室内に取り込むイメージです。
残りの4℃分だけを、
暖房で補えばよいことになります。
熱交換換気がない場合と、比べてみる
熱交換機能のない、
第三種換気(排気のみ機械式)の場合、
給気口から入ってくる空気は、
外気温そのままです。
先ほどの例で言えば、
室温20℃、
外気温0℃の状況で、
0℃の空気が、
そのまま室内に入ってくることになります。
この0℃の空気を、
20℃まで暖めるのに必要なエネルギーと、
熱交換換気によって、
あらかじめ16℃まで暖められた空気を、
20℃まで暖めるのに必要なエネルギーとでは、
大きな差が生まれます。
この差こそが、
熱交換換気による省エネ効果の正体です。
熱交換素子の形と、メンテナンスの重要性
熱交換素子の多くは、
紙製や樹脂製の薄いシートを、
波型に重ねた構造をしています。
この構造により、
限られたスペースの中で、
できるだけ広い面積を確保し、
効率よく熱を交換しています。
ただし、
この素子やフィルターにホコリが溜まると、
熱交換の効率が落ちるだけでなく、
換気風量そのものも低下してしまいます。
定期的な清掃・メンテナンスが、
性能を維持するうえで欠かせません。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)を標準採用しています。全熱交換方式を採用することで、温度だけでなく湿度も含めた、季節を問わず快適な空気環境を実現しています。
気密性能「C値0.19以下」とあわせることで、計画したルート通りに空気が流れ、熱交換換気の効果を十分に発揮できる設計を行っています。定期的なフィルター清掃についても、お引き渡し時にご説明しています。

まとめ
熱交換換気は、
排気の熱を、
熱交換素子を通じて給気に伝える、
仕組みです。
顕熱交換と全熱交換という、
2つの方式があり、
住宅用には全熱交換が採用されることが多くなっています。
熱交換率という数値の意味を理解し、
定期的なメンテナンスを行うことで、
その効果を長く維持できます。
冬だけでなく夏にも効果を発揮する、
一年を通じた省エネの仕組みです。
仕組みを正しく理解しておくことが、
長く快適に使い続けるコツです。
よくある質問
熱交換率は、高ければ高いほどいいのですか?
一般的には、熱交換率が高いほど、省エネ効果は高くなります。ただし熱交換率だけでなく、風量や静音性、メンテナンスのしやすさなど、総合的な性能で比較することをおすすめします。数値の高さだけを追い求めるのではなく、実際の使い勝手も含めて検討しましょう。
熱交換素子は、どれくらいの頻度で交換が必要ですか?
製品によって異なりますが、フィルターの清掃は数か月に一度、熱交換素子自体の交換は数年に一度程度が目安とされています。メーカーが推奨する周期を確認し、計画的にメンテナンスを行うことが大切です。掃除を怠ると、風量が落ちて換気そのものが不十分になることもあります。
全熱交換だと、花粉や臭いも室内に入ってきませんか?
全熱交換素子は主に水蒸気(湿度)をやり取りする仕組みであり、花粉やほこりなどの大きな粒子は、給気フィルターで別途除去される設計になっています。ただし製品によって性能は異なるため、花粉対策を重視する場合はフィルターの性能を確認することをおすすめします。
停電時、熱交換換気は機能しますか?
熱交換換気は電動のファンで空気を動かす仕組みのため、停電時は機能が停止します。長期間の停電が想定される場合は、窓を開けるなど手動での換気を検討する必要があります。防災の観点からも、こうした特性を理解しておくと安心です。
熱交換換気は、夏場も同じように効果がありますか?
効果があります。冬は排気の暖かさを給気に伝えますが、夏は逆に、冷房で冷やされた室内の涼しさを、取り込む外気に伝えます。全熱交換方式であれば、夏の高い湿度が室内に入りすぎることも抑えられるため、冷房負荷の軽減にもつながります。
熱交換換気の仕組みについて、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、熱交換換気の実物をご覧いただける完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 一般社団法人 換気システム工業会 熱交換換気に関する資料
- 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 熱交換換気に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準