
同じ室温25℃なのに「快適さ」が違うのはなぜ?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.08.29

目次
結論:体感温度は気温だけでなく、壁や窓の表面温度・湿度・気流で決まる
同じ「室温25℃」でも、家によって「快適」と感じたり「肌寒い」と感じたりします。その差を生んでいるのは、温度計には表れない要素です。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「エアコンの設定は25℃なのに、
なんだか肌寒い」
という経験はないでしょうか。
逆に、
他の家では同じ室温でも、
びっくりするほど快適だった、
という経験もあるかもしれません。
温度計が示す数字と、
実際に感じる暑さ・寒さは、
必ずしも一致しません。
この記事では、
「室温は同じなのに、
快適さが違う」という現象を、
住宅性能の視点から解説します。
体感温度を決める4つの要素

温熱環境の研究では、
人が感じる快適さは、
気温だけでなく、
これら4つの要素の組み合わせで、
決まるとされています。
中でも見落とされがちなのが、
「放射温度」と「気流」です。
この2つは、
住宅の断熱・気密性能によって、
大きく左右される要素でもあります。
断熱性能が低いと、壁や窓が「冷たいまま」になる
断熱性能が低い住宅では、
室温を25℃に暖めても、
壁や窓の表面は、
外気の影響を受けて、
冷たいままになりがちです。
人の体は、
周囲の冷たい面に向かって、
熱を奪われる「放射冷却」の影響を受けます。
これが、
「室温は25℃なのに肌寒い」
という現象の正体です。
特に窓際に近いソファや、
ダイニングテーブルの席では、
この放射冷却の影響を、
強く感じやすくなります。
気密性能が低いと、「すきま風」が体感を下げる
気密性能が低い住宅では、
窓やドアのわずかな隙間から、
冷たい空気が侵入し、
気流(すきま風)が生まれます。
同じ室温であっても、
わずかな気流があるだけで、
体感温度は、
数℃単位で下がるとされています。
床付近を這うように流れる、
「コールドドラフト」も、
この気流の一種です。
冷やされた空気は、
暖かい空気よりも重いため、
床付近に沈み込みながら、
部屋の中を移動していきます。
エアコンの温度計が示す数字が同じでも、
足元だけ冷える、
という経験は、
このコールドドラフトが原因のことが多いです。
高断熱・高気密住宅が「体感の快適さ」に強い理由
断熱・気密性能が高い住宅では、
壁や窓の表面温度が、
室温に近い状態を保ちやすく、
放射による冷え・すきま風による気流の乱れが、
起こりにくくなります。
同じ「室温25℃」という数字でも、
性能の高い住宅の方が、
体感として快適に感じやすいのは、
こうした理由によるものです。
結果として、
設定温度を無理に下げたり上げたりせずに、
快適さを得られるため、
光熱費の面でも有利になりやすいのです。
「作用温度」という考え方
建築の温熱環境の分野では、
気温と放射温度を組み合わせた、
「作用温度」という指標が、
使われることがあります。
作用温度は、
おおまかに言うと、
「気温」と「周囲の壁・窓の表面温度」の、
平均に近い値で表されます。
たとえば室温25℃でも、
窓の表面温度が10℃であれば、
体感に近い作用温度は、
25℃よりもかなり低くなります。
エアコンの温度設定を見るだけでは、
この差に気づくことができません。
住宅性能を語るうえで、
「作用温度」という言葉自体は、
一般にはあまり知られていませんが、
体感として誰もが経験している感覚です。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」を標準とし、壁や窓の表面温度を室温に近づけることで、数字以上の体感の快適さを実現しています。
温度計の数字だけでなく、実際の「体感」を大切にした住まいづくりを行っています。設計段階から窓の位置や断熱仕様を検討し、体感の快適さを数字で裏付けられる住宅を目指しています。

まとめ
体感温度は、
気温・放射温度・湿度・気流という、
4つの要素で決まります。
同じ室温25℃でも、
壁や窓の表面温度・すきま風の有無によって、
感じ方は大きく変わります。
住宅の快適さを比較するときは、
室温だけでなく、
断熱・気密性能にも、
目を向けることが大切です。
住宅展示場やモデルハウスで、
「室温は同じはずなのに、
なんとなく快適さが違う」
と感じたときは、
窓や壁に手をかざしてみると、
その理由が分かるかもしれません。
よくある質問
放射温度は、自分で確認する方法はありますか?
放射温度計(赤外線温度計)を使えば、壁や窓の表面温度を手軽に測定できます。室温との差が大きいほど、放射による体感の低下が起きやすくなります。数千円程度の家庭用モデルでも、おおよその傾向はつかめます。
エアコンの設定温度を下げれば、快適さは補えますか?
設定温度を下げることで一時的に快適に感じることもありますが、根本的な放射冷却やすきま風は解消されないため、光熱費だけが増えてしまう傾向があります。窓際や床付近の冷えは、設定温度を変えても解消しにくい部分です。
湿度は、体感温度にどう影響しますか?
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、暑さを強く感じやすくなります。逆に冬場の湿度が低すぎると、体感的に寒く感じやすくなる傾向があります。適切な湿度を保つことも、体感の快適さを左右する要素のひとつです。
コールドドラフトは、どこで発生しやすいですか?
気密性能が低い住宅の窓際や、床付近で発生しやすい傾向があります。冷やされた空気は重く沈むため、足元から冷えを感じやすくなります。ソファやダイニングの足元が特に寒いと感じる場合は、この現象を疑ってみるとよいでしょう。
中古住宅でも、体感の快適さを改善する方法はありますか?
窓の内窓設置や、気密性能を高めるリフォームによって、放射冷却やすきま風の影響を軽減できる場合があります。新築時ほどの効果は難しいこともありますが、改善は可能です。
住宅展示場で「快適」と感じても、実際の家で再現できますか?
展示場のモデルハウスは、体感の快適さを実感しやすい場ですが、その快適さがどのような性能によって支えられているかを確認することが大切です。UA値・C値などの数値もあわせて確認し、季節や時間帯を変えて体感してみることをおすすめします。
体感の快適さにこだわった住宅性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、壁や窓の表面温度まで意識した住まいづくりについて、実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 温熱快適性に関する研究資料(作用温度・平均放射温度の考え方)
- MIURAHOME 社内施工基準