
断熱等級6・7なら本当に暖かい家になるのか?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.09

目次
結論:等級はUA値の目安であり、暖かさそのものを保証するものではない
断熱等級6・7は、UA値(外皮平均熱貫流率)を基準にした国の指標であり、それ単体で「暖かい家」を保証するものではありません。気密・換気・日射計画・窓配置などが伴わなければ、等級が高くても体感としての暖かさは実現しにくいのが実情です。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
「断熱等級7を取得しています」
という言葉を聞くと、
「とても暖かい家に違いない」
と感じるかもしれません。
しかし実際には、
「等級7なのに、思ったより寒い」
という声も存在します。
今回は、
断熱等級の正しい理解について、解説します。
断熱等級とは何か
断熱等級(断熱等性能等級)は、
建物の断熱性能を、
国が定めた基準で評価する制度です。
評価の基準となるのが、
「UA値(外皮平均熱貫流率)」
です。
2022年の基準改正で、
従来の等級4が上限だった制度に、
等級5・6・7が新設されました。
等級とUA値の対応(6地域の場合)

長崎の多くの地域が該当する6地域では、
- 等級4:UA値0.87以下
- 等級5:UA値0.60以下
- 等級6:UA値0.46以下
- 等級7:UA値0.26以下
という基準になっています。
数値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。なお、地域区分は全国8区分あり、寒冷地ほど厳しい基準が設定されています。
「断熱等級」と「HEAT20」は何が違うのか
住宅性能の話をしていると、
「断熱等級7」と、
「HEAT20 G3」
という、2つの言葉が出てくることがあります。
これらは、
似たUA値を基準にしているため、
混同されやすいのですが、
運営する組織が異なります。
断熱等級は、
国(国土交通省)が定める制度です。
一方でHEAT20は、
民間の研究機関が、
「本当に快適に暮らすための断熱水準」
として提唱している指標です。
6地域においては、
等級7とHEAT20 G3が、
ほぼ同水準(UA値0.26以下)とされていますが、
どちらも「壁や窓から逃げる熱の量」を評価したものであり、
気密や換気までは評価していない点は、共通しています。
等級だけでは分からないこと
ここが、今回一番伝えたいポイントです。
断熱等級は、
あくまで「壁や窓から逃げる熱の量」を評価したものであり、
- 気密性能(隙間の量)
- 換気計画
- 日射取得・遮蔽の設計
- 窓の配置
までは、評価に含まれていません。
つまり、
等級が高くても、
これらの要素が伴っていなければ、
期待した暖かさは得られません。
住宅会社を選ぶ際は、等級の数字だけで安心せず、気密・換気・日射計画までセットで確認する姿勢が大切です。
「等級7なのに寒い」が起こるケース
実際に起こりうるケースとして、
- 気密性能が低く、隙間から熱が逃げている
- 換気計画が不十分で、冷たい外気が入りやすい
- 窓の配置や日射計画が考慮されておらず、冬の日射を取り込めていない
- 間取り上、暖房が効きにくい部屋がある
などが挙げられます。
断熱等級の数値だけを見て安心するのではなく、
これらの要素も含めて確認することが重要です。
等級と体感のギャップを埋めるために
断熱等級を、
本当の意味での「暖かさ」につなげるには、
- 気密性能(C値)の実測
- 計画換気の設計
- 窓の配置・日射計画
- 冷暖房需要(kWh/㎡)の把握
まで含めて確認することが欠かせません。
等級は、あくまで出発点の一つと考えるとよいでしょう。
長崎で等級7を目指す際の注意点
長崎県は、
高温多湿・海風・寒暖差という気候特性を持っています。
等級7(UA値0.26以下)を目指す場合でも、
気密性能や換気計画がともなっていなければ、
湿気による不快感や、
壁内結露のリスクを抱えることになります。
数値の高さだけで判断せず、
総合的な設計を確認することが大切です。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能について「UA値0.35以下」を最低ライン、「UA値0.26以下(等級7・G3・パッシブハウス相当)」を推奨基準としています。ただし等級の数値だけでなく、C値0.19以下の気密性能、熱交換率80%以上の第一種熱交換換気、南面中心の窓配置、90cm〜1.2mの深い庇まで含めた総合設計を大切にしています。
私たちが最も重視しているのは、こうした要素の結果として現れる「冷暖房需要(kWh/㎡)」です。等級という制度上の数値だけでなく、実際の暮らしやすさで判断してほしいと考えています。

まとめ
断熱等級6・7は、
UA値という「熱の逃げにくさ」を評価した、
国の指標です。
ただし、
それだけで「暖かい家」が保証されるわけではありません。
気密・換気・日射計画・窓配置まで含めて、
総合的に確認することが、
本当に快適な住まいへの近道です。
よくある質問
断熱等級7なら、必ず暖かい家になりますか?
断熱等級はUA値(熱の逃げにくさ)を評価した指標であり、気密性能・換気計画・日射計画・窓配置までは評価に含まれていません。これらが伴っていないと、等級が高くても期待した暖かさは得られないことがあります。
断熱等級6と7の違いは何ですか?
6地域の場合、等級6はUA値0.46以下、等級7はUA値0.26以下が基準です。数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。
「等級7なのに寒い」ことはあり得ますか?
あり得ます。気密性能が低い、換気計画が不十分、窓の配置や日射計画が考慮されていない、といった要因が重なると、断熱等級が高くても体感として寒く感じることがあります。
住宅会社を選ぶ際、等級以外に何を確認すべきですか?
C値(気密性能)の実測値、換気計画の詳細、窓の配置・日射計画、そして冷暖房需要(kWh/㎡)を確認することをおすすめします。これらを総合的に確認することで、実際の暮らしやすさを判断しやすくなります。
断熱等級とHEAT20は何が違いますか?
断熱等級は国(国土交通省)が定める制度で、HEAT20は民間の研究機関が提唱する指標です。6地域では等級7とHEAT20 G3がほぼ同水準(UA値0.26以下)とされていますが、どちらも気密や換気までは評価していない点は共通しています。
断熱性能について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、断熱等級だけでなく気密・換気・日射計画まで含めた実際の性能をご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照しました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 建築物省エネ法における断熱等性能等級・外皮性能(UA値)に関する資料
- 一般社団法人 HEAT20 グレード別外皮性能水準に関する公表資料
- MIURAHOME 社内施工基準