
住宅会社がC値を測定しないのはなぜ?|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.22

目次
結論:C値測定は法律上の義務ではない。だからこそ「測定の有無」を自分で確認する必要がある
気密測定(C値の実測)は、現在の法律で義務付けられていません。そのため、測定を行わない住宅会社も存在します。測定しないことが即座に「性能が低い」を意味するわけではありませんが、実測しない限り、本当の気密性能を確認する手段がないのも事実です。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
前回の記事で、
C値は実測しなければ分からない数値だと解説しました。
では、
なぜすべての住宅会社が、
気密測定を実施しているわけではないのでしょうか。
この記事では、
その背景にある事情を、
できるだけフェアな視点で解説します。
住宅会社を比較検討している方にとって、
判断材料のひとつになれば幸いです。
C値は、法律上の必須項目ではない
実は日本の省エネ基準では、
かつて気密性能の基準が設けられていた時期がありました。
しかし2009年、
次世代省エネ基準の見直しにともない、
気密性能に関する基準は必須項目から外れました。
以降、
気密測定を実施するかどうかは、
住宅会社ごとの判断に委ねられています。
気密測定が実施されにくい、主な理由

測定を行わない理由は、
会社によってさまざまですが、
主に次のような事情が考えられます。
- 専用の送風機と測定員の手配に、追加の費用と工期がかかる
- 測定した結果、思うような数値が出なかった場合のリスクがある
- 法律上の必須項目ではなく、実施しなくても事業上の支障が出にくい
- UA値のように設計段階で示しやすい数値ではなく、営業説明に使いにくい
「測定しない」と「性能が低い」は、必ずしもイコールではない
誤解のないように補足すると、
気密測定を実施していないからといって、
その住宅会社の施工品質が、
必ず低いというわけではありません。
丁寧な施工を行っていても、
測定という工程自体を、
標準の工程に組み込んでいないだけ、
というケースもあります。
ただし問題は、
測定しない限り、
施主側にはその実力を確認する手段がない、
という点にあります。
気密測定は、どのように行われるのか
気密測定は、
専用の送風機を、
玄関などの開口部に設置して行います。
送風機で室内の空気を、
強制的に外へ排出し、
その際の室内外の気圧差を計測します。
隙間が多い住宅ほど、
外から空気が入り込みやすいため、
目標の気圧差をつくるのに、
より多くの風量が必要になります。
この関係性から、
隙間の合計面積(C値)を算出する仕組みです。
測定自体は、
数十分から1時間程度で完了します。
施主として、何を確認すればいいか
住宅会社を検討する際は、
次のような点を確認してみてください。
- 全棟で気密測定を実施しているか
- 過去に建てた住宅の測定結果(実測C値)を開示してもらえるか
- 測定を「完成後1回」だけでなく、施工途中にも行っているか
- 測定結果が目標値に届かなかった場合、どう対応する方針か
「気密測定をしていますか?」
というシンプルな質問だけでも、
住宅会社の姿勢を知る手がかりになります。
質問した際の答え方にも、
注目してみてください。
具体的な数値や過去の実績をもとに、
明確に説明してくれる会社であれば、
気密性能への意識が高いと考えられます。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、気密性能「C値0.19以下」を標準とし、この数値を公言する以上、実測による裏付けが不可欠だと考えています。全棟で気密測定を実施し、施主様に実測結果をお示ししたうえでお引き渡ししています。
断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」とあわせて、数値を語るだけでなく、その数値を実測で証明することを大切にしています。測定結果が目標に届かなかった場合は、隙間の発生箇所を特定したうえで補修し、再測定を行う体制を整えています。

まとめ
気密測定は、
法律上の義務ではありません。
費用や工期、
数値が出なかった場合のリスクなど、
実施しない理由は住宅会社ごとにさまざまです。
「測定しない=性能が低い」
と単純に決めつけることはできませんが、
測定しない限り、
本当の性能は誰にも分かりません。
家づくりを検討する際は、
「気密測定をしているか」を、
遠慮なく確認してみてください。
数字とその裏付けの両方を見ることが、
後悔しない住宅会社選びにつながります。
よくある質問
気密測定には、どれくらいの費用がかかりますか?
測定費用は会社や地域によって異なりますが、専用の送風機(気密測定器)と測定員の手配が必要になるため、一定の費用が発生します。標準工程に組み込んでいる会社では、この費用があらかじめ建築費に含まれていることが一般的です。オプション扱いの場合は、見積書の内訳を確認しておくと安心です。
測定した結果、目標のC値に届かなかったらどうなりますか?
隙間の多い箇所を特定し、気密テープや気密シートで補修したうえで再測定する、という対応が可能です。施工途中に一度測定しておくことで、完成後に慌てて手直しする事態を防ぎやすくなります。
気密測定をしていない会社は、避けたほうがいいですか?
一概には言えません。測定していなくても、丁寧な施工を行っている会社は存在します。ただし、その実力を客観的な数値で確認できないという点は理解したうえで、依頼するかどうかを判断することをおすすめします。他の判断材料とあわせて、総合的に検討することが大切です。
中古住宅でも、気密測定はできますか?
可能です。既存の住宅でも気密測定を行うことができ、リフォームや断熱改修を検討する際の判断材料になります。改修前後で数値を比較することで、工事の効果を客観的に確認することもできます。断熱リフォームをご検討の場合は、着工前と完了後の2回測定することで、費用に見合った効果が出ているかを確認できます。
気密測定の結果は、契約前に確認できますか?
その住宅会社が過去に建てた住宅の実測データであれば、契約前に開示してもらえる場合があります。ただし、これから建てるご自身の住宅の数値は、当然ながら着工後の測定を経なければ分かりません。契約前には、その会社の実績としての平均C値や、測定を標準工程に含めているかどうかを確認するとよいでしょう。
気密測定について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、全棟で実施している気密測定の実例についてご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 省エネ基準の変遷に関する資料
- 一般社団法人 日本住宅性能検査協会 気密測定に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準