
住宅性能は「営業マンの言葉」ではなく数字で比較する|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.07.11

目次
結論:「暖かい家です」ではなく、UA値・C値・熱交換率という具体的な数字で比較する
住宅会社を検討していると、「うちは暖かいですよ」「性能には自信があります」といった言葉をよく耳にします。しかし、こうした言葉だけでは、他社と正確に比較することはできません。このコラムシリーズでこれまで解説してきた指標を、最後に「比較のための道具」として整理します。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
住宅展示場や商談の場では、
「快適です」
「高性能です」
「暖かい家づくりが得意です」
といった言葉を、
よく耳にします。
これらの言葉に、
嘘はないのかもしれません。
しかし、
他の会社と比較するための、
「ものさし」にはなりません。
この記事では、
これまでのコラムで取り上げてきた指標を、
比較のための道具として整理し直します。
これから住宅会社を検討する方に、
ぜひ役立てていただきたい内容です。
なぜ「言葉」だけでは、比較できないのか
「暖かい」
「涼しい」
「高性能」
といった言葉は、
話す人の基準によって、
意味が変わってしまいます。
ある会社にとっての「高性能」が、
別の会社にとっては、
「標準的」なレベルということも、
珍しくありません。
数字であれば、
会社が違っても、
同じ基準で比較できます。
これが、
「言葉」と「数字」の、
決定的な違いです。
住宅会社を比較する前に、確認したい5つの数字

このコラムシリーズで解説してきた指標を、
5つに整理しました。
- UA値:断熱性能。数値が小さいほど熱が逃げにくい
- C値:気密性能。設計値ではなく実測値を確認する
- 換気の熱交換率:顕熱交換か全熱交換か、何%か
- 窓のUw値・Ug値:サッシとガラスを合わせた、窓全体の性能
- 年間暖房需要:UA値・C値・換気・日射計画をすべて含めた、総合的なエネルギー需要
この5つを聞くだけで、
住宅会社の「本気度」が、
ある程度見えてきます。
「高性能」という言葉だけでは、何も言っていないのと同じ
「高性能住宅です」
という言葉は、
具体的な数値を伴わなければ、
実質的に何も言っていないのと同じです。
「UA値0.87でも、
当社比では高性能」
という説明も、
理屈としては成立してしまいます。
大切なのは、
「高性能かどうか」ではなく、
「具体的にいくつなのか」を、
確認する姿勢です。
数字を「言われたら」、さらに確認したいこと
数字を教えてもらえたら、
それで安心、
というわけでもありません。
- その数字は「設計値」か「実測値」か(特にC値は、実測しなければ本当の性能は分からない)
- UA値の基準は、どの地域区分に基づいているか(同じ「等級7」でも、地域によって基準値が異なる)
- 熱交換率は「顕熱」か「全熱」か(全熱の方が、湿度まで含めて交換できる)
- その数字は、モデルハウスだけの数字か、標準仕様として全棟に適用されるものか
ここまで確認して、
はじめて「比較できる数字」になります。
営業担当者に聞いてみたい、具体的な質問
実際の商談で使える、
質問の例をいくつか挙げます。
- 「標準仕様のUA値とC値を、数値で教えてください」
- 「C値は、全棟で気密測定を実施していますか」
- 「採用している換気システムの、熱交換率は何%ですか」
- 「この地域(長崎)で、年間の暖房需要はどれくらいですか」
こうした質問に、
即座に具体的な数字で答えられるかどうかは、
その会社が数値をどれだけ大切にしているかの、
分かりやすい判断材料になります。
数字で比較する習慣は、住宅会社選び全体に応用できる
ここまで紹介した5つの数字は、
断熱・気密・換気・窓という、
住宅性能の一部分にすぎません。
しかし、
「言葉ではなく数字で確認する」
という姿勢そのものは、
住宅選びのあらゆる場面に応用できます。
耐震性能であれば耐震等級、
省エネ性能であれば一次エネルギー消費量、
資産性であれば長期優良住宅の認定の有無など、
住宅にはさまざまな数値指標があります。
「言葉」に納得する前に、
「数字」で確認する習慣を、
ぜひ身につけてください。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」、気密性能「C値0.19以下」、熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)という数値を、標準仕様として公開しています。
「高性能です」という言葉ではなく、具体的な数値と、その裏付けとなる全棟気密測定の実施によって、性能をお伝えすることを大切にしています。

まとめ
「暖かい家です」
という言葉は、
住宅会社を比較するための、
ものさしにはなりません。
UA値・C値・熱交換率・窓の性能・年間暖房需要という、
5つの数字を確認することで、
はじめて公平な比較ができます。
数字を聞くこと、
そしてその数字の裏付けまで確認することを、
遠慮なく行ってほしいと思います。
それが、
後悔しない住宅会社選びへの、
確かな一歩になります。
よくある質問
数字を聞くと、営業担当者に嫌がられませんか?
性能に自信のある会社であれば、数値についての質問を歓迎するはずです。むしろ、具体的な数字について質問した際の対応の仕方は、その会社を見極める良い機会になります。曖昧な返答しかもらえない場合は、質問の仕方を変えて再度確認してみることをおすすめします。
5つの数字のうち、特に優先すべきものはありますか?
それぞれが異なる役割を持つため優劣はつけにくいですが、まずはUA値・C値という基本的な2つの数値と、その数値が実測に基づいているかどうかを確認することをおすすめします。
数字だけを比較すれば、住宅会社選びは完了しますか?
数字はあくまで比較のための道具のひとつです。デザインや間取り、担当者との相性、アフターサービスなど、数値化しにくい要素も、家づくりでは重要になります。数字と、それ以外の要素をあわせて総合的に判断することをおすすめします。
このシリーズで紹介してきた内容を、もう一度まとめて確認できますか?
はい。UA値・C値・換気・窓の性能について、それぞれ個別のコラムで詳しく解説しています。気になる項目があれば、関連コラムからご覧ください。数字の意味を理解したうえで質問できると、商談もスムーズに進みやすくなります。
住宅性能の数値について、もっと詳しく知りたい方へ
MIURAHOMEでは、標準仕様の数値とその裏付けについて実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 住宅の省エネルギー基準に関する資料
- 一般社団法人 日本サッシ協会 窓の性能表示に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準