
「高断熱=高性能住宅」ではない理由|長崎で重要な高断熱・高気密住宅の考え方
2026.06.28

目次
結論:断熱性能は、住宅性能を構成する要素のひとつにすぎない
「UA値0.26」「断熱等級7」といった断熱性能の数値だけで、「高性能住宅」と判断するのは早計です。気密・換気・防露設計・施工精度など、複数の要素がそろってはじめて、本当の意味での高性能住宅と呼べます。
この記事の執筆者
三浦 恭輔(MIURAHOME 取締役部長・営業部)
大学院卒業後、都内の設計事務所に勤務し、2023年にMIURAHOMEへ入社。設計事務所でのデザイナー経験を活かし、「美しい空間」「住みよい性能」「安心なライフプラン」の提案を行う。長崎県諫早市を拠点に、パッシブハウス基準の高断熱・高気密住宅を専門に手がける。
はじめに
住宅性能の話をすると、
「UA値」ばかりが、
注目される傾向があります。
これまでこのシリーズでも、
断熱・気密・換気・結露など、
さまざまなテーマを解説してきました。
この記事では、
それらを振り返りながら、
「断熱性能だけでは不十分な理由」を、
まとめて整理します。
個別のテーマを深掘りしてきた記事の、
総まとめとしてお読みください。
これから家づくりを検討する方にも、
きっと参考になるはずです。
気になるテーマがあれば、
関連コラムもぜひご覧ください。
なぜ、断熱性能だけが独り歩きしやすいのか
UA値は、
ひとつの数値で表され、
他社と比較しやすいという特徴があります。
「UA値0.26」
という表現は、
分かりやすく、
営業トークにも使いやすい数字です。
一方、
気密性能や換気計画、
防露設計といった要素は、
数値化しにくく、
説明にも手間がかかるため、
後回しにされがちです。
結果として、
「断熱性能さえ良ければ問題ない」
という誤解が広がりやすくなります。
断熱性能だけでは不十分な、5つの理由

これまでの記事で解説してきた内容を、
あらためて整理すると、
次の5つにまとめられます。
- 気密性能が低いと、隙間から熱が漏れ、断熱性能を十分に活かせない
- 換気計画が悪いと、熱交換換気の効果が発揮されない
- 防露設計が不十分だと、壁の中で結露が起こり、耐久性が損なわれる
- 日射計画がないと、夏の暑さや冬の日射取得をコントロールできない
- 施工精度が低いと、計算上の数値通りの性能が実現しない
それぞれの要素は、独立していない
重要なのは、
これらの要素が、
それぞれ独立しているのではなく、
互いに影響し合っている点です。
気密性能が低ければ、
換気計画の効果も薄れます。
防露設計が不十分であれば、
断熱材そのものの性能が、
長期的に劣化してしまうこともあります。
ひとつの要素だけを取り出して評価しても、
住宅全体の性能は、
正しく判断できません。
同じUA値でも、暮らしの実感が違う理由
仮に、
同じUA値0.26の住宅が、
2棟あったとします。
A棟は、
断熱材の厚みだけにこだわり、
気密測定を行わず、
換気計画も最低限、
日射のコントロールも考慮していません。
B棟は、
断熱性能に加えて、
気密性能を実測で確認し、
熱交換換気を導入し、
窓の配置や庇で日射をコントロールしています。
カタログ上のUA値は同じでも、
実際に住んだときの暖房費や快適性、
結露のリスクには、
大きな差が生まれます。
これが、
「UA値だけでは判断できない」
と言われる理由です。
「高性能住宅」を名乗るために、本当に必要な条件
断熱性能はもちろん重要です。
しかしそれは、
住宅性能という大きな絵の、
一部分にすぎません。
気密性能、換気計画、
防露設計、日射計画、
そして施工精度。
これらすべてが統合されてはじめて、
「高性能住宅」と呼べる住まいになります。
住宅会社を選ぶ際は、
UA値だけでなく、
これらの要素をどう考えているかを、
確認することをおすすめします。
MIURAHOMEの考え方
MIURAHOMEでは、断熱性能「UA値0.35以下(最低ライン)/0.26以下(推奨)」だけでなく、気密性能「C値0.19以下」、熱交換率80%以上の第一種熱交換換気(Zehnder製)、日射遮蔽型トリプルガラスによる日射計画、そして防湿・気密・通気の丁寧な施工まで、すべてを統合した設計を行っています。
ひとつの数値だけでなく、住宅性能全体のバランスを大切にしています。

まとめ
「高断熱=高性能住宅」
という考え方は、
半分正しく、
半分誤解を含んでいます。
断熱性能は大切な要素ですが、
気密・換気・防露・日射・施工精度と、
セットで考えなければ、
その効果を十分に発揮できません。
数字ひとつに惑わされず、
住宅性能を、
総合的に見る視点を持ちましょう。
このシリーズで取り上げてきた、
断熱・気密・換気・結露・サッシなどのテーマは、
すべてがつながっています。
ひとつずつ理解を深めることが、
後悔しない家づくりへの近道です。
よくある質問
住宅会社を比較する際、UA値以外に何を確認すればいいですか?
気密性能(C値の実測結果)、換気システムの種類と熱交換率、防湿・気密施工の考え方、日射計画(窓の配置や庇の設計)などを確認することをおすすめします。それぞれについて具体的な説明ができる会社は、住宅性能への理解が深いと考えられます。逆に、UA値の話しかできない会社には注意が必要かもしれません。
断熱等級7を取得していれば、安心と考えていいですか?
断熱等級7は、断熱性能(UA値)の高さを示す指標です。気密性能や換気計画、施工精度までは保証するものではないため、断熱等級7だけを基準に判断するのではなく、他の要素もあわせて確認することをおすすめします。
すべての要素を完璧にするのは、費用的に難しくありませんか?
要素ごとに優先順位をつけながら、予算内でバランスを取ることは可能です。重要なのは、どこにどれだけ費用をかけるかを、住宅会社と一緒に納得できる形で決めていくことです。すべてを一度に完璧にする必要はなく、優先順位を明確にすることが第一歩になります。
この記事で紹介された5つの要素について、もっと詳しく知りたいです。
気密性能、換気システム、結露対策については、それぞれ関連コラムで詳しく解説しています。あわせてご覧いただくと、住宅性能への理解がより深まります。
断熱等級やUA値の表示は、信用できないということですか?
そうではありません。UA値や断熱等級は、住宅性能を客観的に示す大切な指標です。ただしそれだけで住宅の総合性能が決まるわけではないため、気密性能や換気計画など、他の要素とあわせて確認することをおすすめします。指標そのものを疑うのではなく、指標の意味を正しく理解することが大切です。
住宅性能を総合的に理解したい方へ
MIURAHOMEでは、断熱・気密・換気・防露設計まで含めた住宅性能について、実際の建物でご説明する完成見学会・個別相談を随時受け付けています。
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参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしました(すべて2026年8月時点で確認)。
- 国土交通省 建築物省エネ法における住宅性能基準に関する資料
- 一般社団法人 日本木造住宅産業協会 住宅性能に関する資料
- MIURAHOME 社内施工基準